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パラダイムシフトが起きるという予言の自己実現

この新型コロナウイルスがもたらす社会的な影響により、人類の生き方とか在り方とか根本的に変わるパラダイムシフトが起きる、と主張する人が結構います。特にお偉いさんというか、知識人・有識者・賢人とか言われていそうな人たちです。その主張自体はまあ分かるのですが、果たして本当にすぐにガラッと変わるのかな、という疑問も同時に持ってしまいます。

多くの国では直接的な被害は増加ペースが落ちてきていて、収束も見えてきていますが、まだウイルスについては分からないことも多く、第二波や北半球での冬が来たらどうなるか、ということもまだ予断を許しません。

そんな状況でも、このコロナウイルスが人々の生活を大きく変えてしまい、もう元に戻らなくなる、という悲観も交えた予測を言われても、私のような天邪鬼からすると、
「この状況で未来を見据えているなんてすごいな」
と思ってしまいますが、
「『この状況で未来を見据えているなんてすごいな』と思わせよう」
という意図も見え透いているようにも思えてきました。

ある意味、有識者が意図的にパラダイムシフトを仕掛けているようにも思ってしまいます。

第二次世界大戦後、東西冷戦後、911、リーマンショック後、311、そしてコロナ禍後、という大事件や大災害の後に時代が変わるというのは、知識人が掲げる典型的なお題目です。

本当のところは、世間も社会も事件前から少しずつ変わっていて、そして必然あるいは偶然の事件後に大きく変わったという共通理解を持つことで認識される、予言の自己実現のようなものでもあると思います。

もちろん、それを鋭く分析して発言することにも意味がありますが、事件が起きた後に言われても受け取る側は混乱の最中にあって熟考して受け入れる余裕もありませんし、事件後しばらく過ぎてしまえば忘れてしまいます。そしてその予想が外れていたら尚更、誰も話題にしないでしょうし、当たっていてもしばらく前から続いている変化なので予想のことを尚更気にしません。

結局はそのような世相の変化にともなうパラダイムシフトに対する指摘は、インテリの自己満足になってしまうことになります。

西洋社会でマスクをするといっても今のうちだけでしょうし、制限が緩和された欧米では早くも人々が街に繰り出して楽しんでいます。キスやハグも今は注意していてもそのうち元通りになっていくでしょう。

その一方で、テレワーク・在宅勤務への移行は進むかも知れませんが、一部の企業では先進的に取り組んできましたし、それによってむしろ便利なことが多いと思えばその流れは続きます。日本では満員電車対策に決定的な効果があります。なんせ電車に乗らないのですから。満員電車がもたらす痴漢などの性被害も減るでしょう。ラッシュ時の遅延も減り、乗客の減少にともない過密ダイヤも減るはずです。アメリカでもシリコンバレーなど一部地域ではとてつもない渋滞や地価高騰を招いていましたが、テレワークが充実すればそれらは自然と解消するはずです。

変わるものは前から少しから変わり続けているはずですし、変わらないものは多分今後も変わらないでしょう。習慣はそう簡単には変わらないですが、それ以上の問題を解決出来るのであれば勝手に変わっていくものだと思います。


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