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自宅でのコンテンツ視聴のマルチアングル配信の可能性

 20世紀においては、映像を見る行為というのは、映画館に行って映画を見るか自宅でテレビ(VHS・DVD含む)を見るかどちらかしか無かったわけですが、今の時代は違います。パソコン・スマホ・タブレットで映像コンテンツを簡単にかつ格安で見ることが出来ます。フィルム→電波→ネット回線とコンテンツ提供経路が変遷してきたとも言えます。

 ネット回線経由で見る場合のメリットとして今後は、同じコンテンツでもどのような形で見るか、ということを選べる(マルチアングル化)ようになるのではないかと思います。自分が見たいカメラ位置の映像のみストリーミングするならネット回線にかかる負荷や帯域利用は変わらないですが、放送波の場合では、カメラ位置すべてのデータをいっぺんに送出する必要がありますから、この辺は明らかにネット回線に優位性があります。

 すでにDAZNがマルチアングル中継をサッカーでもやりましたし、昨年のロシアワールドカップではNHKがネット配信で行いました。
 
 もっと進んだ形を想像すると、一つのコンテンツを例えば基本料金あるいは無料ではみんな同じカメラアングルからの映像を見ることが出来て、金額によって見る角度が異なることも出来るようになると面白いと思います。

 例えば、野球の場合、無料ならバックスクリーン方向からのみの映像、少しお金を払えばバックネット裏からも見られる、もっと払えば左右スタンドからも可能、たくさん払えばピッチャー目線やバッター目線で見られるとか。サッカーでしたら俯瞰的に見たい人もいれば、ゴール裏の熱狂を感じたい人もいるでしょう。

 そもそも、スポーツ観戦だけではないですよね。歌手のライブ映像も無料では遠いところから、お金を払ったらアリーナ席からの映像を見られる、といった区別も出来ます。

 現行のテレビ番組でいうと、ニュース番組やバラエティ番組ではあまり需要はないでしょう。ドラマではむしろ作り手側がこの場面はこの角度で見てほしいという思いがあるでしょうからマルチアングルは適していないきがします。ライブ同様、歌番組ならアリかも知れませんね。ただ、上述のように放送波には向いていない仕組みですから、放送波は標準の内容で、ネット配信はマルチアングル、というのなら可能ですね。放送法の点で可能なのかどうか分かりませんが。

 さらに、このマルチアングル中継にVR技術が重なると、まさに目の前にスタジアムが、ライブ会場があるように体験できます。そうなると放送波ではお手上げですね。ネット配信+VRカメラに軍配が上がります。リッチなコンテンツはネット配信で、リッチではないコンテンツは放送波で、という棲み分けになるのかも知れません。

 モノ消費からコト消費へ、とか言われていますが、コト消費の中身も消費者による厳しい選別が行われて、どんどん変わっていく時代が来るのではないでしょうか。

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