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Googleが賭けるウェアラブル端末市場

Googleがウェアラブル端末大手のFitbitを買収することを発表しました。

Google、スマートウォッチのFitbitを買収
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1216384.html
Googleは11月1日(米国時間)、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを手掛ける米Fitbitの買収を発表した。買収総額は約21億ドル(約2,272億円)で、2020年中の買収完了を目指す。

Fitbitはスマートウォッチというよりもフィットネストラッカーとして有名といえるでしょう。私は持っていませんが、ランニングなどする人は多分誰でも知っているレベルの会社です。

一方のGoogleはスマートウォッチ分野では明らかにAppleの後塵を拝しています。これを逆転するのは並大抵のことではないですが、そのための買収でもあります。買収が成功する前提での話になりますが、このFitbitの技術、資産、ブランドを生かしてウェアラブル端末でApple Watchに挑むことになるでしょう。

GoogleというかAndroid陣営にもこれまでもスマートウォッチはありましたが、WearOSと名前を変えた今でもあまり売れていません。SamsungのGearシリーズはありますが、そもそもAndroidは多くのメーカーがたくさんの機種を作っていて、一応はそれぞれ同じアプリが動く「Android」というフォーマットの元で動いているというのが利点でした。

それぞれのメーカーがそれぞれのAndroid端末で接続することを前提としたスマートウォッチを出しても売れる数が少なくなるのは当然です。Androidの利点を生かせていないことになります。

GoogleがこのFitbit買収により、いずれ出してくるであろうウェアラブル端末に求められるのは、どのAndroidスマホでも同じような利用体験が出来ることです。これがPixelシリーズでしか使えないのであればこれまでのAndroidウェアラブル端末同様、Apple Watchには勝てないでしょう。

そもそも時計型である必要もありません。指輪やイヤホンや、あるいはかつて作っていたメガネ(Google Glass)などもありでしょう。メガネは盗撮などの批判を受けて撤退しましたが、いずれは多くのメーカーが参入してくるでしょうし、その点ではGoogleはかつての知見を生かせるはずです。

一つ気がかりなのは、Googleという会社がこれまでいくつものサービスや製品を送り出しつつも、上手く行かないとすぐに止めたり名前を変えたりしていくことが多いことです。

他の企業やサービスを買収してGoogleのエコシステムに組み込むも、類似サービスを既に抱えていて両立させたり統合したり、あるいは結局再度売却したりということも何度もありました。

とりあえず新しいことをやってみてダメならまたやり直そう、という考え方はベンチャー企業らしいものですし、だからこそこれほど巨大なIT企業になったのだと思いますが、今、巨大になりすぎた状態でその思想のままスクラップアンドビルドを繰り返すと、単にGoogle(あるいは親会社のAlphabet)の利益を圧迫するだけではなく、利用者を振り回し社会にも大きな影響を与えてしまいます。モトローラ社の買収とその後の売却は分かりやすい例でしょう。

それともう一つ、今回の買収劇を受けてGAFAの残り2社、AmazonとFacebookはどう反応するかです。どちらもスマホ市場に乗り出そうとして失敗あるいは計画倒れに終わりましたが、ライフログは貴重なビッグデータになり得るのでしょうから、新たにウェアラブル端末市場に乗り出してもおかしくないと思います。となると、ガーミンのフィットネス端末部門なんかは狙い目のような気もしますが・・・?

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