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個人情報の範囲と管理

昔は電話帳に自宅の電話番号が載っているのが当たり前でした。さらには紳士録では役職なども載っていました。どちらも今の時代にはそぐわないものとなっています。紳士録はそもそももう出ていないですよね。電話帳も個人情報保護の観点だけではなく、固定電話から携帯電話への移行ということもあって利用する人は減りました。

いわゆる個人情報保護法の成立により、個人情報を扱う企業・団体だけではなく、個人自身も自分や家族の個人情報の取扱について注意するようになりました。

その一方で普及したインターネット、特にSNS上において、自分や家族の写真、行動履歴などを公開しまくっている人もいます。もちろんそういう人が個人情報をおろそかにするタイプとは限りませんが、氏名・住所や電話番号だけが個人情報というわけではないはずです。

SNSで自分でアップしている情報も場合によっては個人情報に含まれるものもあるでしょう。

Googleストリートビューは世界各国でプライバシーの問題を提起することになりましたが、結局は誰でも道路から見ることが出来る建物の外観などは、プライバシー侵害には当たらないということになっています。

個人情報やプライバシー権は考え方が難しいというか、境界線のところは微妙なのだと思います。

では、具体的には何が個人情報になるんでしょうか?

氏名
生年月日
住所
電話番号
メールアドレス
SNSアカウント
運転免許証番号
年金番号
マイナンバー
肖像権などの外見
疾病履歴、通院履歴
学歴
職歴

日本人だとこの辺でしょうか? 国によっても異なるでしょうし、同じ日本人でも異なるかも知れません。

また、自分が把握していないものも個人情報になり得ます。個人の遺伝子情報、DNAのゲノム情報も個人情報といえますし、いずれは誰もが分析結果を所有・管理する時代になるでしょう。

こういった個人情報はもちろん他者(他社)に預ける以上は厳格に管理されないといけませんが、セキュリティを厳格にしすぎると当然ながら使いづらくなります。セキュリティとユーティリティは基本的には対立します。

マイナンバーシステムでは反対もあって、個人情報保護を重要視する仕組みのためにかえって使いづらくなりました。肝心のマイナンバーは他人に見せないようにしましょうとか、カードを人に見せる場合も裏面にある番号を見せないカバーを付けた状態で見せるとか、何のために存在するのか分からなくなります。

政府が個人を管理するなんてとんでもない、という考えの人がいるのは確かですが、そもそも戸籍や住民票、年金番号での管理をしているのはいいのでしょうか? 管理しなければ保護も福祉も何も出来ませんし。

ただ、個人情報を含めた情報管理、システムの構築が日本政府や自治体は時代遅れとの批判があるのは分かります。

政府・自治体が管理している戸籍、住民票、年金、健康保険、運転免許、といったものだけでも、それぞれで別個に個人情報が管理されています。いずれはこれら全てがマイナンバーシステムで一括管理される時代が来るのかも知れませんが、まだまだ遠そうです。

ちなみに、電子国家・電子政府として有名なエストニアでは、国民の個人情報を政府は二回聞いてはいけない、というルールがあるそうです。政府だけではなく、同じ情報を民間企業も使用出来るので、そういった点では便利そうに思えます。

まあ、エストニアが電子政府を強力に推進したのは、隣国ロシアに侵略されて占領されても国民や政府を電子的に管理出来るように、というモチベーションあってのことでもあります。日本がそこまで危機感を持っていないということでもありますが、利便性を考えてももう少し進化していってほしいなあとは国民・市民としては思います。

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