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情報のブロック経済化がやってくる世界

EUが、個人データやプライバシーを厳格に保護するためにGDPRという規則を施行したのは2018年でした。EU域内のみならずEU域外に存在する事業者にも適用されますので、日本の企業でも対象になります。

そしてEUにおけるGDPRに相当する法律が、中国でも可決されたそうです。ユーザーデータ保護法(PIPL)案というらしいですが、第三国へのデータ転送に関する規定もあるようです。

世界に広がりつつある、中国国内の巨大IT企業が抱える個人情報を、欧米政府の支配下にさせないためという邪推も出来ますが、単純に中国の巨大IT企業そのものを中国政府がコントロールするためのものでしょう。

どちらにせよ、中国と欧州ではIT企業が消費者の個人情報を利用して好き勝手に振る舞うことが許されなくなります。

国際的IT企業の本家本元であるアメリカ合衆国では、資本主義・自由主義の考え方から企業への規制は一般的には否定的ですが、それでも昨今のGAFAらの振る舞いに対して拒否反応を示す人たちも少なくありません。EUや中国の規制に刺激されて北米でも同様になる可能性だってあります。

建前やお題目はどうあれ、どこにおいても国家や地域の政治的組織が、ユーザーデータを囲い込む時代が到来しています。あえて過去に例を取るなら、戦間期の世界恐慌後にブロック経済が形成されたことを思い起こさせます。20世紀前半は、経済とは資源とそれを生かした生産を意味していました。石油・石炭・鉄鉱石を抱えているか否かに、国家の浮沈がかかっていました。

そして90年近く経った現代では、物理的な資源はもちろん重要ですが、それ以上にデジタルデータが国家戦略上の重要な資源になり得ます。

翻って日本でどうなっていくのか、不安の方が大きいですが、完了レベルでは優秀な人が色々と考えてくれていることでしょう。問題はそれを立法の立場で政治家がサポート出来るかどうかということと、そのような政治家を有権者が当選させるかどうかですね。

マイナンバー制度でも揉めに揉めて長年かけて実施したのに利用が進まない日本においては、国家戦略的に個人情報を扱う前の段階のようにも見えてしまいますが、いっそのことアナログ回帰します?

それは冗談としても、全部をデジタル化する流れになるのは当然ですが、アナログ的な手法を全廃してしまうのは、電気や通信が途絶した時のことを考えると怖いものがあります。地震などの自然災害によって電子マネーが使えなくなるトラブルは、日本人にとっては想像しやすいはずです。

アナログとデジタルのハイブリッドでやっていくしかないですが、その分の無駄が生じてしまうのは覚悟するしかありません。

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