サブスクリプションやジレットモデルのIT業界における限界はあるか

スマートフォンやタブレットではまず必要ありませんが、一般的にパソコンではセキュリティソフトが必要とされています。

良くあるのがマカフィーとかウイルスバスターといったところで、自作ではなくメーカー製PCを購入したときにはまず何らかのセキュリティソフトがバンドルされているでしょう。

しかし、そもそも、Windows10で一番素直(変な挙動をしない)なセキュリティソフトがWindows10内蔵のWindowsセキュリティとも言われています。確かGoogleChromeの開発チームが言っていたはずです。OSに入っているのですから当然と言えば当然ですが、Chromeブラウザにも変な影響を与えないのでしょう。

そうは言ってもそれでは安心できない人、人とは違って怪しい行動をしちゃう人はサードパーティ製のセキュリティソフトが必要となります。

大半のセキュリティソフトは、1年や3年などのサブスクリプションとして支払が必要です。インストール出来る台数も1台とか3台とかですが、一度インストールしてもアンインストールやライセンス利用解除などを行えば、別のPCにもインストール出来ます。

その一方で、ソースネクストには違うタイプの支払をする、2種類のセキュリティソフトがあります。どちらも一般的なセキュリティソフトとは異なり、期限のあるサブスクリプションタイプではなく、インストールしたデバイスが利用出来る限りいつまでもサポートされます。このソフトはスマホやタブレット版も対象となっています。

つまりセキュリティソフトには、期限固定でデバイス制限のないサービスと、デバイス固定で期限のないサービスのどっちがいいか、という選択肢が存在します。

どっちがいいかは人それぞれだと思います。パソコンにしろスマホにしろ、どんどん乗り換えていったりする人は当然ながら期限があるけどデバイス制限がないタイプの方がいいですが、逆にデバイスを買い替える期間が長い人は、期限がない方が良いに決まっています。

PC時代ではデバイスを毎年買い替える人はごくわずかでしたが、スマホ時代ならそれほど珍しくはありません。そう考えるとソースネクストはこれについては上手い商売だと思います。

しかし、自作PCの場合はどうやって判別するのでしょうかね。Windowsのライセンス認証のように一部のパーツが共通であれば認められるのか、それともインストールしたWindowsが使える限り、デバイスを入れ替え、HDDやSSDもクローンコピーしてOKとなるのか。個人的には自作PCは持っていないので検証しようもないのですが。

ともかく、なんでもかんでもサブスクリプションでの支払システムが整備されているようなサブスクリプション全盛期のような様相になってきましたが、それが嫌な人にとっての選択肢があるのは良いことでしょう。

ただ、期限で区切られた利用権ということではなく、利用するためには継続的に支払い続けないといけないものとしては、プリンタのインクビジネスがITデバイス界ではもっとも早いものだと思います。もちろん、昔のビルの一角を巨大なコンピュータが占めていて、利用時間ごとにお金を払って使っていた時代なんかは別ですが。あくまで個人向けで言えばプリンタインクは身近に思いつくものでしょう。

プリンタ本体は安く売られているけれど、それを使い続けるにはメーカー純正品のそれなりのお値段のインクを使わないといけない、というのは、プリンタメーカーの代表的なビジネスモデルです。

互換品のインクも大半のプリンタに存在しますが、それを使って故障するとメーカー保証が効かないというデメリットもありますので痛し痒しですね。ただ、結局本体が安いのですからまた新品を買えばいいのですけれど、地球には優しくないですね。

互換インクと言えば先日、互換インクメーカーのエコリカがキヤノンを訴えましたが、訴訟の行方はどうなるでしょうか。

なんとなく個人的には、こういう裁判はアメリカなら互換インクメーカー側が勝ちそうにも思えますが、そもそもアメリカのゼロックスとかHPとかが始めたビジネスモデルのはずですので、そうでもないのでしょうか。

ITデバイスに限らなければ、いわゆるジレットモデルと言われる、カミソリの柄と刃をバラ売りにして、刃をずっと買わせ続けるという仕組みです。

まあカミソリの刃だったら単価も安いですし、互換品を使うと柄が壊れるということも無いでしょうから問題にはならないでしょう。

先述のエコリカ・キヤノンの裁判では、互換インクをプリンタが認識できないようにしたことが問題になっています。カミソリとは理屈が異なりますので、今後の動向が気になります。これでエコリカが負けると互換インクのビジネスは成り立たなくなるかも知れません。縮小するプリンタ市場でメーカー側が利益を確保しやすくなるでしょうけれど、それによって逆に一気に市場が冷え込む可能性もあります。

安いインクが使えなくなるならプリンタそのものを自宅に所有せず、コンビニでの印刷で済ませたり、家庭内でのペーパレス化(年賀状印刷を止めるなど)が加速してしまうことも予測されます。

メーカーにしてみたら納得出来ないでしょうけれど、多分、このビジネスモデル自体の限界なのでしょう。いくつかのメーカーは大容量インクモデルを出してきて、このプリンタインクビジネスから脱却しようとしています。

かつてのMicrosoftは、Windowsのアップグレードで売上を上げていましたが、新品にしろアップグレードにしろ費用を嫌うユーザーが海賊版などで不正利用を行い、それによって被害を受けるユーザーが増えてしまっていました。

それだけが理由ではありませんが、今のMicrosoftはWindowsの売上は収益の柱から外してしまいました。Windows10の大型アップデートは毎年2回ありますが完全無料です。小型のタブレットやUMPCなどでは無料で提供しているようですし、今のサティア・ナデラ体制では完全に儲け方が変わりました。

そろそろ、プリンタ業界も変わっていく頃合いなのでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?