地球の先住民たるホモ・サピエンス
地球の支配者は誰かと言われると、たいていの人は「人類」「人間」「ホモ・サピエンス」と答えるでしょう。
生物や動物植物に詳しい人なら、昆虫とか菌類とかちょっとひねった回答をされる方もいるかも知れませんが、地球や他の生物の存在を理解した上で君臨いているという意味での「支配者」なら、人類のみ該当することになります。
地球を支配しているのは、人類の支配を脅かすものがいないからですが、では、脅かす存在が出てくればどうなるでしょうか?
一昔前なら、地球上での人類の支配権に挑戦してくるとしたら、宇宙人が侵略してきた場合を想定(というか妄想)するのが当然でした。
オーソン・ウェルズの宇宙戦争やそのラジオドラマに始まり、20世紀のSFブームでは地球が宇宙人に支配され、人類(地球人)が宇宙人の部下や奴隷になったり、あるいは侵略してくる宇宙人と戦う物語はたくさんありました。
地球に先住していたホモ・サピエンスとして、侵略に対して抵抗すれば防衛戦争になり、既に支配されている状態で戦えば独立戦争ということになります。
まあ、今の時点で太陽系の外から地球に侵攻してくるような宇宙人がいるなら、その技術力に勝てるとは思えませんが、これまで描かれたSFの世界では様々な手段や理由、原因で宇宙人を撃退してきました。
城や砦などの防衛拠点に籠城する敵を撃破するには、敵の3倍の戦力は必要と言われていますから、地球に籠もる地球人としては宇宙人の戦力同等でなくとも、2分の1くらいの戦力があればなんとかなるかも知れません。
逆にもし私が宇宙人側として地球人を支配しようと思ったら、搦め手というか非正規戦というか、正攻法で攻める以外の手段を取るかも知れません。
パッと思いつくだけで、例えばこの数年間人類が苦しんだように、人類が全滅はしないけれど社会に大規模な混乱を巻き起こすようなウイルスをばらまくとか、穀物・家畜など食料の柱になるようなもののうちで一つだけ消滅させる(これもウイルスになるでしょうが)とか、狂犬病のように何かの動物・猛獣に人類を襲わせるようにするとか。
人類を死なせたり、街を破壊したりすると、地球を支配してもその意味が大きく減じてしまいますから、大規模破壊兵器を使うわけにはいかないはずです。
ともかく、この辺のネタはもう既に世界中のSF作家に書かれているでしょう。
さて、現代において人類の支配に挑戦しうる存在と言えば、AI、人工知能コンピュータで間違いないでしょう。
人工知能の反乱もSFには既にありふれたテーマではありますが、AIの進化が急激に成し遂げられた結果、単なる妄想や想像だとして一笑に付すことも出来なくなりつつあります。
人類とコンピュータが抗争する未来が本当に訪れるかどうかは知りませんけれど、戦うとしたら物理的な破壊という分野においては人類が圧倒的に有利でしょう。
となると、やはりAIが人類を支配しようとするなら搦め手になるはずで、可能性としては前述の通り人類社会に致命的なウイルスを生み出してしまうか、金融システムを支配してお金を使えないようにするか、電力・水道などのインフラを使えなくするか、といったところでしょうか? かなり厄介です。
だからといって人類がコンピュータを徹底的に破壊しつくせばAIに支配されることはない、結論にも至らないでしょう。現代人類にとってコンピュータは欠かせないことは誰の目にも明らかです。今さらコンピュータのない時代の生活には戻れないでしょう。
常に支配権に挑戦される恐怖を抱えながら、人工知能コンピュータと共存していくしかないのですよね。この点は宇宙人の侵略とは異なります。
まあ、最悪なのは侵略してきた宇宙人と人工知能が手を組んで人類に対抗してきた場合ですが、その時は諦めましょうか?
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