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教養と税金と外国人観光客

日本にある三つの国立博物館が、それぞれ4月1日より常設展観覧料を値上げするそうです。

東博など国立3博物館、入館料を値上げへ。「ランニング・コストも賄えない」
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21272

このニュースを見て、確かに人件費も消費税も上がっているのだから費用負担が増えるのは当然だよな、と思ったのですが、記事末尾にある、

なお、博物館法第23条(入館料等)では、次のように定められている。「公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」。

ということをそもそも知りませんでした。調べてみると、この博物館法は昭和26年に出来たようです。ちょうど日本がサンフランシスコ講和会議にて国際社会に復帰した年ですね。

博物館法
(昭和二十六年法律第二百八十五号)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326AC1000000285
第二十三条 公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる。
(博物館の補助)
第二十四条 国は、博物館を設置する地方公共団体に対し、予算の範囲内において、博物館の施設、設備に要する経費その他必要な経費の一部を補助することができる。
2 前項の補助金の交付に関し必要な事項は、政令で定める。

今ある国立博物館やその他の地方の博物館などで、全ての費用を入館料で賄っているのか分かりませんが、国民・市民にとって有益なものであるから対価を徴収しない(税金で負担する)という考えが元々はあるのでしょう。

それでも、費用がかなりかかるのである程度以上は受益者負担ということで、博物館に来る人がお金を払ってください、という理屈も分かります。

博物館に全く興味も関心も必要性も感じない人にしてみたら、税金を一円たりとも使うな、という考えを持っているかも知れませんし、その一方で広く大衆に教育・教養のために役立つ施設というのは個人的な感情での税負担拒否は認められない、という考えもあるでしょう。

ただ、最近は博物館や美術館など、公共性が高い施設への外国人観光客も多く訪れているはずですから、税金で広く負担するよりは入館料として費用を賄う方が妥当でしょうね。

こういったところでも、観光立国とは、観光業を国内産業の一つの柱にするとはどういう影響があるのか、ということに日本が国家として初めて直面して出てきた問題のような気がします。

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