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泡沫、夜明けの絶望
東の空が少し白み、静かに絶望する。
さめきった身体で自分を俯瞰すると、どうしようもない焦燥感が僕の脳みそを殴っているのがみえた。
何もかもが不確かだ。
あの淡い地平も、絶望の居場所も、僕の輪郭も。
その全部がまるで誰かの夢であるように、ただぼやけながら互いを憎み合っている。
夢を見ていたような気がした。
もっとも、一睡もせずに夜を明かしたのだから、夢をみるはずなど無いのだが。
すでにその記憶が溶けた夢からさめるように、
大切ななにかを失った気がして、泣きながら空(くう)を抱きしめる程に寂しくなった。
ふと誰かに愛されたくなった。
「あなたはあなたのままで」
「傍にいてくれるだけで良い」
そう言って抱きしめてくれる人がひとりでも居たらいいのに。
僕の全部を受け入れて、僕をたくさん求めてくれるひとが。
目の前には誰もいない。
それどころか窓ガラス越しにみた早朝の世界は動かず、この世にたった僕だけが、騙されて取り残された気がしてならない。
それとも、ほんとうにそうなのだろうか。
考えるほど独りだ。涙すら出ない。
また空に縋って、そのまま静かに崩れ落ちて
そして小さく呻いた。
やっと絞り出した僕の主張が、
形にした淋しさが、
この喉の微かな振動だ。
何を震わすことも出来ない、
誰にも届かない独りよがりの本音。
グロテスクな心はどんどん冷えていく。
どろどろに乾いて、深くおぞましい穴へ落ちてゆく。
溺れることなどできない。
この苦しみは永遠だろうか。
この世界で僕だけは、僕を愛してあげたいと思った。
僕自身が、
「僕は僕のままでいい」
「生きてるだけで良い」
と、そう言って僕を抱きしめるのだ。
きっと1番簡単な希望だ。
だけど僕は僕のことが嫌いみたいだ。
すっと顔を出した太陽が、強い光で刺しながらそういうのだ。
それは僕が1番よく分かってるよ。
僕のことだもの。僕は僕について、誰にも劣らない理解者だから。
きっとこのまま、堂々巡りを続けて行くのだ。
これが僕の生きる道であり、僕の美しさだ。
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