第1章【ITエンジニア向け人事制度】エンジニアが脇役になっている会社での人事課題について
最終更新日:2024年5月23日
ITエンジニアとは、情報技術を専門とし、システムやITインフラの設計や構築などを行う人々のことを指します。
エンジニアにもいくつかタイプがあり、クライアントのシステムを扱うエンジニアや、社内や自社製品に関わるシステムのエンジニアがいます。
今回は、そのエンジニアが与えられたシステムの設計を行うだけでなく、その先でビジネスに付加価値をどう与えるのかをエンジニアが自ら考えることができるような人事制度についてお話をします。
特に本記事では、エンジニアが脇役となっている企業における人事課題をご説明します。
*本記事は5分程度で読むことができます。
*本記事を読むことで、エンジニアがいる企業での人事課題を理解することができます。
当社代表の平康慶浩が2023年4月自社セミナーにて講演した内容を全3回にわたってご紹介します。本記事は「第1回」となりますので、ぜひ他の全ての記事もご覧ください!
課題が明確なのに対処をしない企業
特に、社内のシステムを扱うエンジニアなどにおける、採用や離職が課題となっている企業が多いです。
また、主力事業がITシステム関連でない企業においても同様です。
こういった、エンジニアが脇役になっているような企業では、エンジニア向けの人事の仕組みがミスマッチであることが多いです。
具体的には次の2点が挙げられます。
1.タスクとスキルのミスマッチ
近年の売り手市場化により、会社の採用自体が難しくなり、会社に必要なスキルを持ち合わせた人材を採用できないケースがあります。
そして、会社自体有名でない場合や主力事業がIT関連でない場合、その会社のエンジニアの仕事のイメージがしにくく、入社後にエンジニアの実際のスキルと仕事のギャップに気づくことがあり、そもそも採用まで至らない場合もあります。
また、教育体制や設備がずさんであり、エンジニアの技術が高くてもその技術に相応しい仕事ができないこともあります。
こういったケースから、第2章でもご説明しますが、企業は採用の際に、エンジニアの入社後の具体的な仕事内容を明記することが大切です。
2.求める報酬・成長とのミスマッチ
限られた業務内容だったり、報酬水準が低い、ということがミスマッチの要因となります。
例えばエンジニア向けの人事制度が無く、社内一律であり、かつ給与がIT業界と比較して低いような業界の場合、もちろんエンジニアの給与もその業界に合わせたものとなってしまいます。
そういった場合に、エンジニアは「IT業界の方が給料は高い」と気付き、転職をします。
また、エンジニアが脇役になっている企業の場合、IT部門に先進的な技術が取り入れられないことや、会社から配布されるデバイスが他部門と同等レベルであることも、エンジニアがミスマッチと感じてしまう原因です。
ITエンジニアの位置づけ
経営におけるエンジニアの位置づけを、下とみてしまう企業が少なくありません。
それが1つの根本的な課題でもあります。
ITシステムは事業の深化・拡大を支える重要な基盤となるため、人事と同様にエンジニアは経営において重要視されるべき存在です。
全社一律の人事制度
ある程度の年齢を超えて経験も積まれている方の場合、今までの成功経験から、全社一律の人事制度にこだわる人が多くいらっしゃいます。
しかし全社一律の人事制度は、エンジニアなどのスペシャリストにとっては不満となることが多いです。
一昔前までは多数の職種を経験する、ゼネラリストが日系企業や公的機関では多い風潮がありましたが、昨今では若手の労働力不足などもあり、スペシャリストが望まれる傾向にあります。
そういった背景もあり、企業はエンジニア含め自社のスペシャリストにどう対応すべきかを検討する必要があり、具体的には等級・評価・報酬を職種ごとで設計することが挙げられます。
例えば営業であれば売上の数値やそのためのアクションプラン、事務であれば全社の指標、製造であれば製造スキル、といったように別々の仕組みをつくることが有効です。
ゼネラリストは本当に必要なのか
企業や組織によって、ゼネラリストが必要かどうかは異なります。
そのため、その企業や従業員の志向とともに、ゼネラリスト以外にどんなタイプの人材がいるのかを確認してみましょう。
上図のように、従業員を4種のタイプで分けることができます。
専門性を持っていて企業価値のために働き続ける従業員を「スペシャリスト」と呼び、専門性はあるものの必要な時にのみ企業の役に立つ、というジョブ型の人事制度に近いケースにおける従業員は「プロフェッショナル」と呼びます。
また、プロフェッショナルよりもゼネラリストに近く、オールラウンダー傾向が強い場合は「アントレプレナー」と呼びます。
ゼネラリスト度のチェック
そして最後に、皆さんの組織のゼネラリスト度合いを確認してみましょう。
合致数が多いから悪いということではありません。
新卒採用が中途採用の2倍以上いる
新卒からの昇格者が管理職の半数以上いる
複数部署を経験することが昇格条件になっている
仕事内容や部署を特定せずに採用している
年齢や勤続年数に伴って昇給する仕組みである
社外研修受講や資格取得の奨励よりも社内の一括研修やOJTを主流にしている
普段から上司との関わりが多い部下が良い評価をもらいやすくなっている
社内の知人が多いことが仕事に役に立つ
ここで重要なのは、会社の仕組みはゼネラリスト志向だが、会社に必要なのはスペシャリストである、といったギャップが小さいことです。
企業に必要な人材に合わせて、仕組みも考えることが大切です。
まとめ
本記事では、エンジニアが脇役である企業における人事課題などについてご紹介しました。
「自社のエンジニアに向けた仕組みをつくる」ということがキーワードになるかと思います。
また今回の内容の多くは、エンジニアのみに限らず他の専門職においても当てはまる内容ですので、ご参考にしていただけたら嬉しいです。
次回は第2章で、採用力向上と離職防止や、エンジニアの外注についてご説明しますので是非そちらもご覧ください!
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