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第2章【賃上げ2.0】人事変革を行う上で重要な5つの施策

「インフレ対応」「若手採用」など、報酬についての改革が多くの企業に求められています。
しかし、何を基準として改革を行えばよいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、近年求められている賃金制度の変革について、具体的なステップを示しながらご紹介します。

当社代表の平康慶浩が「賃上げ2.0」について、2023年5月開催の自社セミナーにて講演した内容を全3回にわたってご紹介します。本記事は「第2章」ですので、ぜひほかの記事もあわせてご覧ください!

第2章では、人事変革を行う上で重要となる5つの施策についてご説明します。

第1章では、従来型の賃金制度「賃金1.0」や近年の賃上げの傾向についてご紹介しました。

*本記事は5分程度で読むことができます。
*本記事を読むことで、賃金制度の変革について理解することができます。


代表的な人事改革5つ

新たに価値を生み出すための制度改革施策は以下の5つに集約されます。

① 期待役割別の制度区分
② 金銭・非金銭報酬バランス
③ 市場を見据えた報酬水準
④ 採用力向上の仕掛け
⑤ シンプル化

① 期待役割別の制度区分

会社の中で果たす役割別に求められる人材が異なるため、賃上げの仕組みも異なります。

従業員に期待される役割として、第一の役割、第二の役割という2種類の役割があります。
賃上げを行う場合は、それぞれの役割に合わせて賃金制度を設計することが重要です。

第一の役割とは、既存のビジネスを遂行する役割です。
ある特定の仕事の経験を積み、その後後輩の指導や組織のマネジメントを行う役割が該当します。

第二の役割とは、そもそものビジネスモデルを考える役割です。
新しいビジネスの創出や、既存のビジネスモデルの改善を担う役割が該当します。
創業オーナーが経営を行う企業では、創業オーナーが直接第二の役割を担っており、従業員や次の経営者は取り組んだことのない場合が多いです。

第一の役割に対して賃上げを行う場合には、真面目な人材が多い企業では重複型、成長志向のある人材が多い企業では接続型の賃金制度が適しています。
下図①の仕組みでは、同じ等級にいる期間が長いと評価による昇給幅が小さくなっていくので、成長を目指す人材の流出が起こる可能性があります。
そのため最近では、下図②の接続型の需要が高まっています。

第二の役割において賃上げを行う場合には、生活給与とは大きく異なる仕組みが有効です。

改善志向の強い人材に対しては、下図①のように、等級が上がるほど昇給幅が大きくなる仕組みが適しています。上位ポジションに上がりたいというモチベーションが生まれるとともに、昇格とに賃金上昇の結びつきが強くなります。
起業家人材に対しては、下図④のように、ベースの金額をもとにインセンティブ達成によって給与を増やしていく、絶対額で支払う仕組みが適しています。起業家人材に対しては、期間内に出すべき成果を明確にすることが効果的です。

② 金銭・非金銭報酬バランス

従業員が転職する際の理由として、賃金面に関する不満が挙げられることが多いと思います。

一方で、転職を考える最初のきっかけについてはどうでしょうか。

従業員が転職を意識する最初のきっかけは、社内の人間関係が大きく影響しています。
特に、「周囲3mの人間関係」と呼ばれる、自分の近くの人の中に嫌な人がいると転職を考え始めます。
その後転職サイトなどで求人情報を確認する中で他社に給与面で魅力を感じ、転職が行われます。

このように離職が起こる場合、実は非金銭報酬の影響が大きいといわれています。
その上で、金銭報酬面は転職を後押しする効果をもちます。

そのため、企業内で離職が発生している場合、最初に変えるべきことは嫌な人を外すことです。
特に、ある特定の部署に離職が集中している場合、部署内の人間関係に問題があることが多いです。

その他の非金銭報酬としては、リモートワークの推進、自己研鑽支援、有給休暇の取得促進などが挙げられます。

このように、賃金の改善以外にも従業員の満足度を改善できる施策は多く存在しています。

③ 市場を見据えた報酬水準

従業員の賃金を決定する際は、インフレ対応が必要かどうかというよりも、現在の労働市場の水準と比較することが必要です。

④ 採用力向上の仕掛け

求職者がこの会社で働く自分を想像できるよう、求人票をより丁寧に書くことで採用力向上につなげられます。
雇ってあげているという意識から、自社にいるとあなたにとって得があるというふうに発想を変える必要があります。

求人票で増やすと効果的な情報をいくつかご紹介します。
・入社後のキャリアパス
・平均残業時間
・モデル年収:30歳時の年収など、何歳で年収がどれくらいになるのかを記載します。実際にいる社員の事例を用いるとよいです。

⑤ シンプル化

人事制度は意図通りに浸透しなければ逆効果になることもあるため、適切に運用を行う必要があります。

以下の視点から仕組みのシンプル化を行います。
・従業員に対して分かりやすいか、分かるように説明しているか
・運用が簡単か
・省力化しているか
・評価と報酬の時期ズレが無いか

まとめ

本記事では、人事改革における5つの施策についてお伝えしました。

次回の第3章では、賃金制度の変革に先立って必要な「価値観の変革」について取り上げますので、ぜひご覧ください!

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