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第1章【賃上げ2.0】賃上げ2.0とは?賃金制度の転換の流れについて

「インフレ対応」「若手採用」など、報酬についての改革が多くの企業に求められています。
しかし、何を基準として改革を行えばよいか分からないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、近年求められている賃金制度の変革について、具体的なステップを示しながらご紹介します。

当社代表の平康慶浩が「賃上げ2.0」について2023年5月自社セミナーにて講演した内容をご紹介します。全3回にわたってご説明しますので、ぜひほかの記事もご覧ください!

第1章では、賃金制度の転換の流れについてご説明します。
従来型の賃金制度である賃金1.0から、賃金2.0へ移り変わる流れについて説明します。

*本記事は3分程度で読むことができます。
*本記事を読むことで、賃金制度の変革について理解することができます。


賃金1.0

まずは従来型の賃金制度である賃金1.0についてご説明します。

生活保障のための賃金制度

「年功序列制度」「終身雇用制度」など、私たちが当たり前に思っている給与の仕組みは、生活保障を前提とした人事制度です。

生活保障という性格をもつことから、賃上げについては新卒で入社した後、定年するまでの生涯を通した設計が行われてきました。

生活給与が成立していた理由

従来は様々な規制や情報・技術の制限などがあり変化スピードが遅かったため、いったん成功するとそのビジネスモデルを長く維持できる環境にありました。
そのため将来予測が立てやすく、生活給与が成立しやすい状況にありました。

生活給与が成立しなくなってきている

近年では、規制緩和や情報量の増加、技術の発展によって一つのビジネスモデルを長く維持することが難しくなりました。
将来の見通しが不透明になったため、生活保障としての賃金制度を保てなくなってきています。

また女性活躍や転職の増加によってキャリアが多様化し、これまでのメンバーシップ型雇用が適さなくなってきており、賃金の仕組みを変える必要性が高まっています。

賃上げの種類

最近は大手企業を中心に賃上げのニュースが相次いでいます。
賃上げはその特徴別に大きく2種類に分けられます。

インフレ対応型

一つ目はインフレに対応して賃上げを行うというタイプです。
具体的な施策として、ベースアップや一時金の支給が行われます。

生活に直撃するインフレへの対応という目的があることから、このタイプの賃上げは生活保障的な役割を持っているといえます。

即戦力採用型

二つ目は一部社員の賃金を大幅に上げるというタイプです。
具体的な施策として、初任給の大幅な引き上げや手当の支給が行われます。

このタイプの賃上げは即戦力人材の採用を目的として行われることが多いですが、その背景として、企業が若手社員を下積み期間としてとらえるのではなく、即戦力としてとらえるというように認識が変わっていることが挙げられます。

一元的人事から、個別最適な人事への移行が求められている

メンバーシップ型雇用制度では、新卒で入社した後管理職を目指すキャリアをメインとする一律のキャリアパスが描かれていましたが、ジョブ型雇用の普及によってスペシャリストを目指す人材が増加しています。

企業成長のためにはスペシャリストの活躍が必須ですが、スペシャリストを採用・育成する上で一つ注意点があります。
それは、スペシャリストは他社でも高く評価されるため、能力の高いスペシャリストほど転職が容易であるということです。
スペシャリストを引き留められるように賃金制度を変える必要があります。

つまり従来の一元的な人事から、個人に合わせた複数の人事制度が求められているのです。

まとめ

本記事では、賃金制度の転換の流れについてお伝えしました。

ビジネス環境の変化スピードが速くなったことやキャリアが多様化したことで、従来の賃金制度からの変革の必要性が高まっています。

次回の第2章では、人事変革を行う上で重要となる観点について取り上げますので、ぜひご覧ください!

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