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第1章【経営戦略として活かす人的資本経営】人的資本の可視化について

最終更新日:2024年5月23日

企業における人的資本情報の整理・可視化や、自発的成長の実現、企業価値向上等を軸として、今回は【経営戦略として活かす人的資本経営】という題目で、人的資本を中心にご説明する内容です。

特に本記事では、資産を活用するプロセスや、企業を人的資本の観点から整理することについてお話いたします。

*本記事は5分程度で読むことができます。

こちらは当社代表の平康慶浩が2023年6月自社セミナーにて講演した内容を全3回にわたってご紹介する記事です。中でも、本記事は「第1回」となりますので、ぜひ他の全ての記事もご覧いただけると嬉しいです!

経営戦略として活かすISO30414=人的資本情報の整理

シャッター商店街

恐らく、皆さんはシャッター商店街をご存知であると思います。
シャッター商店街は、文字通りシャッターが閉まり、閉店したお店であふれた商店街を指します。

では、なぜこのような事態が起きるのでしょうか?

その理由は、大きく3つあります。

  • 店舗の老朽化・資金不足

  • 競合ができたor自社に魅力がない

  • 高齢化・人手不足

そして、これらを一言でまとめると次のようになります。

  • 投資不足

  • 陳腐化

  • 高齢化

中でも特に、投資不足は陳腐化と高齢化を引き起こす原因でもあります。
これらによって、お店や会社は閉じていきます。
では逆に、これらが起きずに長続きし、価値を創出し続けるお店はどのような特徴があるのでしょうか。まずは下図をご覧ください。

図のように、資産を購入して出店し、清掃して丁寧に扱い、壊れた部分の修理をし、古い部分を新調する、というプロセスが継続して価値を生むようなお店にはあります。

また、このプロセスはお店などのみでなく、有形資産に対しても同じ考え方ができます。
有形資産でも、丁寧に扱う、修繕する、改修する、買い替える、といったステップによって、その有形資産が生み出す価値を維持させることができます。

そして、さらにこのプロセスは人的資本や無形資産においても同じ考え方ができるのです。

有形資産との違いとしては、人材は成長し、新たな価値を生み出すようになることです。このステップをしっかり行う組織では、人材が成長し創出価値も上がっていきます。

その逆の例としては、とある部署ではマネジメントが煩雑で上司に何らかの問題があり、配属をしてもその部署に入る社員が皆辞めていく、という状態が挙げられ、これは「バケツの底に穴が開いている状態」と表現することができます。

人材の場合、採用後にまずは本人の意思確認、やりたいことやビジョンの確認をし、高いモチベーションを維持するための準備が最初のステップです。

そして次は、その人材に適したOJTができているかを考えることが必要です。その人にとって無茶ぶりでも簡単すぎでもなく、本人のビジョン等にも沿った仕事を与えることが大切です。

そして最後は、リスキリングやキャリア教育といった新たな視点の教育を入れることで、異動等によって新たな役割を与えることができるようになります。

このサイクルを回していくことが重要であり、そのためには個人や組織が具体的にどういう状況にあるのかを可視化する必要があります。

人的資本の可視化は、その先にある人の価値を高め、企業価値も高めることに意義があります。
また、もちろん可視化だけでなく、その人的資本が成長し、価値を生み出していくために何ができるか、ということを考えることも必要です。

企業の強みを人的資本から整理する

自社の強みを整理する

まず、自社の人的資本を整理する前に、自社の強みを整理することが重要です。
自社の強みとしては、

  • 創業者・経営陣

  • 商権

  • ビジネスモデル

  • 管理職

  • 従業員

  • 組織風土

などが、例として挙げられます。
ここで、成長する会社の特徴としては、今挙げたものの上の部分(経営陣やビジネスモデル等)の基盤ができていることです。
いってしまえば、従業員や組織風土の質が良くない会社でも、上の部分がしっかりしていれば後から成長がついていくる、という仕組みができます。

現状課題を考える

先ほどは会社の強みをいくつか例として挙げましたが、逆にこれらの中に存在する弱み・課題となる点を考える必要もあります。
例えば、創業者・経営陣に関してであれば後継者がなかなか見つからないとこと、商権であれば今後は通用しないような商権を扱っていること、管理職や従業員であれば決まった仕事しかできずに自発的な仕事をしないこと、などが挙げられます。

こういった問題は、「今までは問題ではなかった」「今まではこれで通用した」という場合が多く、時代や社会の変化によってそれが弱みや課題になることが多いです。

このような弱みや課題を、背景も理解した上で念頭に置くことが必要です。

課題を人的資本経営の側面から整理する

先ほど述べた会社の課題を、人的資本経営を軸に解決することを考えていきましょう。
まず結論から述べると、管理職・従業員・組織風土等の下の部分から、ボトムアップで経営改善を行うことが有用です。

もちろん、経営陣やビジネスモデルなど上の部分から改善できれば効果は大きいのですが、その施策は現実的ではないことが多いです。
そして下の部分ではエンゲージメントサーベイやマネジメントアセスメント等、会社が今までやっていなかったことで、見えていなかったものを可視化する必要性があります。
ボトムアップの可視化により、全社一丸となった経営成長につながります。

そして、ISO30414は、その可視化について指針を示しています。

上図では、各人的資本に関する項目に対応する、可視化できる要素を示しています。

可視化は会社の課題から考える

最後に、可視化についてですが、会社が抱える弱みや課題に照らし合わせて、可視化する内容を定めましょう。

その会社が抱える課題は経営陣~組織風土のどこにあるのか、具体的にはどういった問題があるのか、それを捉えた上で人的資本に関する何の可視化が必要なのかを決めることが重要です。

まとめ

本記事では、経営戦略として活かす人的資本経営、その中でも資産価値を上げるためのプロセスと、人的資本の可視化に着目した内容をご説明しました。

人的資本の可視化については、まず会社の強みや弱み・課題を理解し、その上で必要な可視化を行うことが大切です。


また、本記事は第1章であり、次回は第2章となるのでぜひそちらもご覧いただけると嬉しいです!


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興味があればのぞいてみてください。


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