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去年取り組んだ5kgの減量について

去年(2020年12月〜2021年4月ごろ)に取り組んだ減量の話をしようと思います。
当時59.2kgあった体重を、体脂肪減のみで54.8kgまで落としました。
栄養士の方と定期的に面談を行いながら計画的に減量を行ったつもりでしたが、やはり心身への負担は大きかった、と今振り返っても感じる部分があります。

ただ、自分の体と心と向き合って学んだことは多かったので、私はやってよかったとも思っています。
今回はその4ヶ月間の取り組み内容と自分の感じたことを記しますので、何か少しでもウエイトコントロールに悩む関係者の方の役に立てば幸いです。

計画の立て方

減量を始めた2020年12月末の59.2キロあった体重は、2021年4月中旬には54.8キロになりました。
体脂肪率は23%から17%になったので、体脂肪が4キロ落ちたことになります。

始まりは横田さんとのミーティングで、横田さんは女性マネージャーの山田さんをその場に同席させて、かなり言葉を選びながら私に「もう少し体を絞った方がいいと思う」という話をしました。
(絞る、というのは筋肉を落とさずに脂肪のみを落とす際によく使われる表現です)

その理由として
・自分の最終的なベスト体重が分からなくとも、PBが出た時の条件に近づけていくことは現時点からの記録短縮に有効な手段であること
・オーバーウエイトが原因になる怪我の予防にもつながること
そして
・PBが出た大学1年時の54キロ台を目標に計画を立てるのはどうか
・サポートが必要であればTWOLAPSのスポンサーである明治の栄養士にコンタクトを取る
といった内容を提案してもらい、私はそれらの話に同意して、その日から減量を開始すると返事をしました。

ミーティングを終えてから、私はすぐにアスリートの減量についてインターネットで検索し、それらの情報を元に減量のペースを設定しました。
その日12月20日時点の私の体重は59.2kgで体脂肪率は約23%あり、立てた目標は5kg減の54.2kg。
筋肉を落とさずに体脂肪を5kg減らすと体脂肪率は約15%になるので、13.5kgある脂肪を8.5kgに落とすということになります。

私がまず検証したのはパフォーマンスを落とさないペースを守りつつ、いつまでになら目標体重に到達できるのかということでした。
アスリートが減量をしていいペースは決まっていて、シーズン中とそれ以外でも減量可能なペースは異なるらしく、今回はシーズンオフ中の減量ペースを使って計画を立てました。

脂肪は1kgで7200Kcalあります。
体内の栄養が不足すると筋肉が分解され始める、という要素を踏まえると
「日々トレーニングに必要な栄養を毎食摂り、筋肉を落とさずに脂肪を落とせる最大のペース」は1週間で体重の0.7%であるという情報にたどり着きました。
一週間でおよそ400gの減量です。
それまでの体重変動が一定だった場合、1日に食事または運動を用いて約400kcalずつ減らすことで達成される割合になります。

私はこれを自分の体重に当てはめて、
59.2×0.993=58.7
58.7×0.993=58.3
58.3×0.993=57.9、、、
という風に、毎週の減量ペースの目安をカレンダーに書き込みました。
それを目標体重の54.2キロまで単純に続けると、4ヶ月後の3月第3週ごろに目標体重に体脂肪減のみで到達することがわかりました。

つまり思いつきで「シーズンインの4月までに5キロ痩せるぞ!」と決めたのではなく、「減量開始の状態から筋肉を落とさずに過去PB時の体重に近づけた場合、結果的に所要する期間が最低でも4ヶ月間だった」という順番であることは知っておいて欲しいと思います。

そして重要なのは体重ではなく内訳だったので、体重・体脂肪率とそこから算出した体脂肪量と除脂肪体重をExcelで管理して、筋肉量が落ちていないかをチェックしました。

体重と体脂肪率を入力すると体脂肪量と除脂肪体重が算出されるExcelシートを作って体組成管理をしました。

減量の方法

減量は食事内容と運動量の調整で行いました。
食事に関しては減量が成功するまであやふやだと段々となし崩しになりそうだったので、以下のようなルールを設けました。

・洋菓子・スナック菓子を食べない
・お酒を飲まない
・パン・パスタを食べない
・揚げ物を食べない
・脂身は外す
・食事量が多い時は潔く残す

エネルギーには「糖質」「脂質」「タンパク質」がありますが、糖質とタンパク質は400mという競技に必須なので「脂質」を減らして摂取カロリーを落としました。
(行動例)
・油を敷いたフライパンを一回ティッシュで拭く
・ドレッシング→ノンオイルまたは塩で食べる
・成分表示を見て脂質の低いものを選ぶ

練習が少ない日やオフの日は食べる量を8〜9割に減らすイメージで、それが難しい場合は30分のジョギング(約300kcal消費できる)などで調整しました。
栄養士の方と定期的に面談を行なって、食事内容の見直しなども行い、無意識に摂ってしまっている余剰カロリーを減らす工夫なども行いました。
(例:ヨーグルトにかけていた蜂蜜をやめるなど)

体重の減りは目標の+1kgあたりを推移しながらも概ね計画通りでした。
毎月生理前の食欲の増加と水分の溜め込みは辛かったですが、生理が終わるとストンと体重が落ちてゆき、結果減量開始から4ヶ月後の4月中旬には目標体重である54kg台に到達しました。
目に見えて体つきは変わり、人に会う度に「痩せたね」と言われるようになりました。

体重のグラフ。青い点は目標体重の目安

ここまでが減量期間の話です。
淡々と記しているのでアッサリやったように見えますが、実際は毎日体重と食べ物のことで頭がいっぱいでした。
ここからは冒頭に記した、「心身への負担が大きかった」と感じた部分について触れていきたいと思います。

ストレスと影響について

減量期間は毎朝トイレに行った後、同じ服装で体重計に乗って体重と体脂肪率を計測・記録していました。
朝の体重でその日の気分が左右されることが多く、「今日は重いから走れないのではないか」「体重が重いから走りを見られるのが恥ずかしい」「今日は体重が軽い、周囲に痩せたことを話したい」という考え方になり、SNSで「太らない食品」なる投稿ばかり見ては、何だったら食べられるかをいつも考えていました。
「何か食べたい」と寄り道をしても何も食べられる(許可できる)ものがなく、ただ店内をウロウロして出るということも何度もありました。

減量するということは、摂取カロリーが消費カロリーを下回り続ける「栄養不足」の状態が続きます。
減量も終盤に差し掛かった3月はもう少しで目標体重だと息巻き、細切れ肉でさえ脂を取り除き、手を出さないと決めていたはずのお米の量を減らしました。

3月下旬のタイムトライアルでは400mで久々に56秒台を出しましたが、そのトライアルでアキレス腱を怪我しました。
その月の生理が10日遅れ、血液検査で免疫に関係する値が基準を下回り、栄養士の方に「もう少しエネルギーを摂って欲しい」と面談で言われていた矢先のことです。
腸の検査ではお腹に菌がほとんどおらずお腹を1ヶ月以上壊していて、4月には別の感染症にかかり、チームにも迷惑をかけました。

私の精神状態はというと「ここまでやってもダメだった」「どうせ自分には出来ない」「もうどうでも良い」ということで頭がいっぱいになりました。
4月以降は食べたい衝動に負けてドカ食いをする日やアルコールを摂る頻度が徐々に増え、結果減量と同じ期間をかけてリバウンドしました。

これらのことが全て、減量を行ったことに因果があるとは思っていませんし、運悪く他のことが重なってしまった部分もあります。
そこには自分の考え方の甘かった部分や、弱さがあったのだと思っています。
(これを自分の弱さだと私が表現して良いのかは悩みました。弱さはあって良いし、あって当たり前というのが私の考えだからです)
横田さんには「晴子ちゃんがこの半年で積み上げたこと、向き合ってきたことはとても意味があるし価値があるものなので、そこはきちんと自分を評価してあげて」と言ってもらったことは救いでした。

体づくりを考える

これらのことから、減量は短期間で急激に行なっても、長期間に及んでも危ないものであり、体づくりは年単位で行うものなのだな、と私は今回の件から学びました。
トレーニングと食事を通じて少しずつ体が変わっていくのを感じたら、逆に少しずつしか体は変わっていかないことを同時に理解できると思います。

それで言うと私に足りなかったのは、年単位での忍耐と言えるでしょう。
私は不安に耐えられず、すぐに結果を求めすぎたのだと思います。
あのタイムトライアルも足に違和感があったのに、数字という目に見える結果が欲しくて、無理に走ってしまいました。

そして今はというと、減量中に身についた基本的な習慣はそのままですが、トレーニング計画をもとに時折OKの日を決めて、甘いものを食べたりお酒を飲んだりしています。
より速く走れるようにするには、ストレスを溜めないようにするには、どうすれば良いのかを中心に考えるようになりました。

フィジカルコーチのトシさんがtwolapsに来てからは計画的にウエイトをするようになり、体組成も変化してきました。
現在は「目標の試合に向けて1ヶ月間、2kg以内の減量を行う方法で調整するのはどうか」という仮説を立て「孫悟空作戦」と名づけ(笑)、実験している所です。

水抜きなどはしませんがイメージはボクサーのように、体重が増えてついたパワーを試合前にスピードに変換できるテクニックがついたら面白いんじゃないかなぁと思っています。
これからは前向きに、ウエイトコントロールを考えていきたいです。

さいごに

長くなりました。このnoteで伝えたいのは、減量を行う選手は自分自身に対して、そして選手に関わる方々も長い目で体づくりを考えて欲しいということです。
ウエイトコントロールに悩む選手はとても多いですが、記録は勿論のこと、体重の増減に関わる因果と相関は思った以上に複雑である、と私は思います。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
いつも締めくくりは同じことを書いている気がしますが、自分の体と心の声を大切にできる選手が増えて欲しいと思っています。
それでは。

↑2021年2月19日の夕食。とにかく油を使わないことを意識していました。
↑2022年2月21日の夕食。減量時に身についた基礎を残しながら、味気ない食事にならないように意識してます。

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