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ショートストーリー

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いわゆる詩みたいなもの。
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それから

それから

モスバーガーを食べたのはあの日以来で
少しだけあの人のことを思い出した。

キスする前にハンバーガーを食べるなんて
ばかだよねって笑ってたあの人は
最後まで曖昧な言葉だけを紡いだ。

わたしはもう道に迷わないし
Googleマップにも惑わされない。

それでもまだ
あの人の体温とか肌触りとか
優しくあいされたことは
覚えていたいと思う。

愛しく思うのは、つみではない。
#エッセイ #コ

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愛情と同情

愛情と同情

自転車の二人乗り
深夜のモスバーガー
Googleマップに惑わされて

渡された鍵
曖昧な言葉
増える電話の数と
減るメールの回数

あれは夢だったのか
うつつだったのか

やっぱりわからない
わからないよ

きみに言われたこと
感情が巡る

本当のことは
見えなくていい

夜間飛行

夜間飛行

地図を見ながら2人で自転車を走らせるのはひどく滑稽で、ある種の逃避行みたいだった。きみの背中を見ながら静かに泣いた。

抱きつくと、きみは中学生の時の友達の話をした。2人乗りをしていたら、恋人が後ろから抱きついてきたと、きみの友達は嬉しそうに話していたらしい。それを思い出したときみは言う。

それを話して、きみはどうしたかったんだろう。恋人にはしてくれないのに。