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『コモンズ思考をマッピングする』輪読会

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山本眞人さんの『コモンズ思考をマッピングする - ポスト資本主義的ガバナンスへ』をゼミのメンバーと輪読しながら、これからの社会のあり方をディスカッションしています。
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#ポスト資本主義

コモンズ思考をマッピングする 第3章

研究室で輪読を行なっている『コモンズ思考をマッピングする ——ポスト資本主義的ガバナンスへ』の第3章「過去と現在のエンクロージャー」について、本章のサマリ、ゼミでの議論内容、感想をまとめました。(文責 M1 高田) サマリーコモンズ思考を深めるにあたり理解が不可欠な「エンクロージャー」と、それに対する「カウンター・ヘゲモニー」にフォーカスした章です。第3章ではコモンズの囲い込みの原型と言われるイギリスのエンクロージャーを取り上げ、過去のエンクロージャーを振り返るとともに、デ

コモンズ思考をマッピングする 第2章

研究室で輪読を行なっている『コモンズ思考をマッピングする ——ポスト資本主義的ガバナンスへ』の第2章「ヴァナキュラーな領域と複雑性」について、全体のサマリ、ゼミでの議論内容、読んだ感想をまとめていきたいと思います。(文責 M1 中川) サマリー第2章は、これまでのE・オストロムによるコモンズ研究の話題を引き継ぎ、前半はオストロムによる「ハイ・モダニズム」への批判により幕を開けます。「ハイ・モダニズム」はジェームズ・スコットによって唱えられた概念で、「単純化」と「把握しやすさ

コモンズ思考をマッピングする 第1章

研究室で輪読を行なっている『コモンズ思考をマッピングする ——ポスト資本主義的ガバナンスへ』の第1章「E・オストロムのコモンズ研究」について、全体のサマリ、ゼミでの議論内容、読んだ感想をまとめていきたいと思います。(文責 M1 石井) サマリーE・オストロムは、ノーベル経済学賞受賞経験のあるアメリカの政治学者・経済学者です。彼女の主な功績として、前回の記事であったように、G・ハーディンの『コモンズの悲劇』の偏見を打破したことが挙げられます。 ハーディンは『コモンズの悲劇』

コモンズ思考をマッピングする 序章

研究室で輪読を行なっている『コモンズ思考をマッピングする ——ポスト資本主義的ガバナンスへ』の序章について、全体のサマリ、ゼミでの議論内容、読んだ感想をまとめていきたいと思います。(文責 M2 明石) サマリー序章は、「コモンズ」というものがどのような背景のもとに「再発見」されてきたのかについて紹介したうえで、「コモンズ」をめぐる議論や運動を概観し、本書で描かれるいくつかの到達点を示すという、本書全体の見取り図になっています。 デービッド・ボリアーが“The Wealth