2024年9月8日
久しぶりに銭湯に行ってきた。溜まっていた気疲れを熱々のお湯に溶かしたので、心なしか体が軽い。
今週は人と会うイベントが多かった。5日間毎晩誰かに会っていた。しかも、はじめましてやお久しぶりの人ばかりで、どれも新鮮な賑やかさで溢れていた。だが、土曜日になりついに体が動かなくなる。
人に会い過ぎると、ベッドから起き上がれなくなるという副作用が発症する。毎日の大半は1人の時間にぬくぬくと浸かっているので、人に会うための筋力がいつの間にかなくなっていた。人に会えば会うほど、日に日によぼよぼになっていく。そして、起き上がれなくなったのが昨日。
昨日は幼稚園からの幼馴染と夜ごはんの約束をしていた。約束前に寄りたいところがあったので、お昼ごろには外に出ようと思っていた。いつも通り7時半に目が覚める。ところが、背中がベッドに張り付いて全く起き上がれない。そのままじーっと天井を見続ける。左右にごろごろするのも億劫で、一本杉のようなぴんとした体勢で仰向けでじっとする。自分が何を見ているのかわからない。ひたすらの無。
2時間ぐらい過ぎたが、ますます体とベッドが一体化していく。今日はこのまま起き上がれないんじゃないかという予感が脳裏によぎるが、ひとまずまだ時間はあるし、と思い切って一回寝る。ぼんやりと目覚めると14時。このあと歩いて、電車に乗って、人と会うというイメージが全く湧かない。絶対無理。引き続きぼーっと仰向けに寝転がる。
約束のためには17時に家を出ないといけない。17時に家を出るには、遅くとも16時過ぎには準備を始めないといけない。おなかが結構空いてきたけれど、今何か食べたら夜ごはんをおいしく食べられないだろうなあ…と時計を見ると15時半である。そろそろ起きないとと、「わー!!」と叫びながら無理やり起き上がる。よかった、なんとか出かけられそう。
台所にいくと、今朝作ろうと仕込んでいたスープのダシを見つける。昨日仕込んだのにすっかり忘れていた。これは今調理しておかないと廃棄することになる。そして、作ろうとしていたスープは、作り置きしても全くおいしくない。作ったらとにかくすぐに食べないといけない。面倒なことになった。再び戻って来た猛暑のせいで部屋はじっとり暑いのに、コトコトコトコトスープを煮込み始める。16時。私は一体何をしているのだ。
できあがったスープをひとまず食べる。熱いし暑い。汗はいらないのに代謝があがるスープのせいでさらにだらだらになる。もう出かける準備をしないといけないのに。焦りでまた汗が出る。汗はもうやめてくれ。
長距離走を走ってきたのかというぐらい汗をかいてしまったが、シャワーを浴びていたら大遅刻しそうなので、とっとと適当に着替える。あまりにも疲労困憊な自分のために、みぞおちあたりにくたびれた字体で「HEALTH CARE」と書かれたTシャツを着る。疲れている日は自戒を込めて着がちなTシャツである。しかし、久々に会う幼馴染に「HEALTH CARE」と見せつけるのは忍びないので、その上からエプロンワンピースを着て、「HEALTH CARE」の部分だけを巧妙に隠す。しめしめ、いいアイデアやと喜んでいたらあっという間に時間が過ぎている。なんでも着ればいいものを。くだらんこだわりが多いわ、と1人で突っ込みを入れる。
久々に会う友人なので、久々にきちんと化粧をしようと息巻いていたのだがそんな余裕はもはやどこにもない。結局いつも通りの、ほぼなにもしてないような化粧をして、ビーサンを履いて家を出る。こんなはずじゃなかった。もっとぴかぴかな自分で再会したかったのに。とぶつぶつ考えながら駅まで小走りで向かう。汗が再び噴き出してくるが、どうしようもない。
無事に(?)20分遅刻で幼馴染と再会する。8年ぶり。遅刻の陳謝から始まった再会だが、この日のぐだぐだの前半部がきれいさっぱりリセットされるほど感動的な夜になった。起き上がれない副作用が出るとしても、1人より誰かと過ごす時間のほうが豊かである。最近はそんな気分。新しい一週間もいろんな人と会えますように。
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