子どもが言うことを聞かない時に、まず気づかないといけないこと

子どもが言うことを聞いてくれない。そんな状況は、保育園ではよくあることです。
そんな時にどうやって、こちらの意見を子どもに伝えるのか。
結論から言うと、「対立構造を崩して、子どもの味方になる」です。

まず、「言うことを聞いてくれない」という具体的な状況を作りましょう。
保育園のあるあるで言うと、「お昼寝をしたくない!」とかでしょうか。(個人的には「したくないならしなくてもいいんじゃない?」に一票です。お昼寝時間には個人差があり、3〜5歳は0〜1時間が睡眠の目安とも言われています。)

「お昼寝行きたくない!」という子どもに、「お昼寝行こうね」と伝える大人。この構図が「対立構造」です。対立構造をより具体的に言うと、「子どもvs大人」という構図です。つまり、子どもに対して「敵」の立場になってしまうんです。

「敵」の立場になってしまうと、いくら「お昼寝をするのは子どもたちのためだ!」と思っていても、子どもたちには響きません。なぜなら、「今ココ」の子どもにとって緊急度も重要度も高い「お昼寝をしたくない」という気持ちに理解を示していないからです。

この「対立構造」になっていることに気づいていないと、まずいことが2つ起こります。
1つ目は、大人から見たこの子どもは「言うことを聞かない子」というレッテルが貼られること。
2つ目は、子どもから見たこの大人は「言うことを聞いてくれない大人」というレッテルが貼られることです。

このレッテルがお互いに貼られるとどうなるか。信頼関係が構築されません。信頼関係が構築されないというのは、つまるところ「この人には話したくない」になっていくということです。

だからこそ、まずこの「対立構造」に陥っていることを認知し、変えるところから始めなくてはいけません。つまり、子どもたちが大人を「味方」だと認識しないと、話を聞いてくれないということです。

「味方」だと認識してもらうには、まず「お昼寝したくないの?」と子どもが意見を言える余白を作ることから始めます。すると、ある程度信頼関係が気づけている子ならば、その理由を言葉なり、表情なり、身振りなりで表現してくれます。

例えば、その理由が「もっと遊びたいから」と仮定します。そしたら、「もっと遊びたかったのか。そっか。遊ぶの楽しいもんね〜。」と子どもの意見を肯定します。

こうして肯定を繰り返していくと、少しずつ子どもが「味方」だと認識してくれるようになります。

具体的に、実際に対応した事例をお話します。
4歳の女の子が「お昼寝したくない!」と大きな声で言いながら、保育士によってお昼寝の部屋に連れてこられました。

その後僕が対応し、「もっと遊びたかったの?」と言うと、「うん」と答えました。この時は、まだお昼寝をすることに納得していません。

さらに「なんの遊びがしたいの?」と言うと、「かるた」と答えてくれました。「かるたいいねえ。楽しいよねえ。」と、ひそひそ話しで話をします。

すると、先ほどまで大きい声を出して感情的だった様子から、すっと落ち着いてきて、私と同じヒソヒソのトーンで話してくれるようになりました。

そうこう話しているうちに、その子がお布団の名札をいじってとってしまいました。「とれちゃった〜。」と私に見せてきたので、その名札を私の胸につけ、「〇〇ちゃんです。」とその子の名前を名乗りました。

そして、「今日は〇〇ちゃんが、〇〇先生を寝かせてあげるよ。」と、私とその子の名前を反転しました。すると、クスクスと笑って、「うんうん」とうなづき、そのまま目を瞑りました。

この子の遊びたい気持ちをまず言葉で肯定すること。そして、名前を反転するちょっとした遊びをしながらお話をしました。それによって、「遊びたい」という気持ちが肯定された気分になり、落ち着いて眠ってくれたのではないかなぁと思っています。

これはほんの一例です。「このやり方をすればみんなお昼寝するよ」というものではありません。

大切なのは、「対立構造を崩して、子どもの味方になる」です。
対立構造のまま子どもがいうことを聞いてくれることもあるんですけど、それって結局「大人の力技」でいうことを聞いてくれているだけのことがほとんどなんですよね。そこに「真の信頼関係は構築できない」というのが持論です。

味方になって、一緒に課題を乗り越えた方が優しい世界じゃないですか。

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