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【逆説】静かな退職を生み出した原因は日本型の〇〇かもしれない

静かな退職を選択してしまうのは
企業側に大部分の責任がある

このように論じる方が一定数います。

最初、私はこの「静かな退職」問題を
従業員のエンゲージメント低下による
企業へ期待しなくなった従業員が起こした
ムーブメントのように捉えていました。

しかし、前回の記事を書くにあたって
色々調べてみると何か違う気がしました。

この記事が好評だったこともあり、
私なりにもう少し違う角度から見て、
「静かな退職」を解説したいと思います。

前回の記事の中では
従業員エンゲージメントが大きく起因している
ことから、そこを高めるために重要な役割を
果たしているマネジメント層へのアプローチ
する方法をご紹介しました。

今回は以下の記事を参考にしながら
数値で見た実態から、
企業側にこそ実は問題があるのではないか?

そのようなお話をしていきたいと思います。


1.従業員の継続勤務の意向は低下し続けている


2023年2月、
クアルトリクス合同会社が発表した以下の
調査結果を元に考察していきたいと思います。

発表元:クアルトリクス合同会社
   (米国クアルトリクスの日本法人)
対象:日本を含む世界27か国・地域を対象
内容:オフィス回帰(Return to Office)、静かな退職(Quiet Quitting)などに対する日本の労働者のEX(エクスペリエンス)に関する調査

日本人の従業員エンゲージメントは
従来から世界と比較して低水準と有名です。

一方で、日本の継続して勤務し続けたい
と考える人の割合は元々は高い水準でしたが
ここ数年で急激に低下しています。

質問内容:
当社であとどのくらい働こうと考えていますか?

回答内容:
3年以上5年未満5年以上と回答した人の割合

日本:2年で11ポイント低下
2020年:76%
2021年:70%
2022年:65%

グローバル:2年で6ポイント低下
2020年:70%
2021年:65%
2022年:64%

これはコロナ禍を経て
若い世代の価値観が変わったと
言われていますが、私自身は
「本当にそうなのか?」と
懐疑的な見方をしています。

次に「静かな退職」の割合を調査するため
質問内容を以下に設定して尋ねてみた所、
全体の15%が該当することが分かりました。

「自発的貢献意欲が低いものの、
 継続勤務意向は高い状態」

これは退職予備軍と比較すると、
数値に差が顕著に表れており
こちらは継続勤務意向も低いことから
上記のように「静かな退職」を定義する
ことが一般的といわれています。

このように定義した人の割合を見ると
必ずしも若い世代に集中しておらず、
以下の通りとなっています。

【年齢別の比較】
20代以下:8%
30代  :18%
40代  :36%
50代  :30%

60代  :8%

また、役職別に比較すると
以下のように役職者以外に集中します。

【役職別の比較】
一般職:80%
管理職:17%
部長職:2%
役員 :0%

以上のことから、
若い世代特有の事象ではなく、
幅広い世代で現代において
発生しているものであることが
分かると思います。


2.逆説と紹介する理由


では今回、私がなぜ
企業側の責任に重きを置いた説
を解説するのか?

その理由をお話したいと思います。

早速ですが、答えは
最初から静かな退職を選択している人は
約3割というデータがあるから
になります。

更に、静かな退職を選んだ理由として
以下の内容が挙げられます。

仕事よりプライベートが重要:38.2%
努力しても報われないから :27.3%
責任ある仕事を任されたくない:12.7%

このように、

40代の働き盛りの世代が
昔のように家族を犠牲するラインまで
過度に働きたくないと考える人

最初は意欲があった人でも
成果ではなく、頑張っていそうな人を
評価されてしまい、やる気を失った人

場合によっては
管理職が罰ゲームのように見えている人
だっていることでしょう。

このような方々が
7割を占めているのです。
最初からぶら下がりたい訳ではないのです。

一方で企業側の目線に立つ違うようで、
人事の方に話を伺ってみると
以下のように受け止める人が多いです。

【静かな退職の一般的な捉え方】
・コロナが原因で仕事への価値観が変化したから
・若い世代に特化した問題である
・会社ではなく個人の問題

何か、ズレていますよね?

データを知らないからこそ、
このような誤った捉え方に問題があるのでは?
もっと仕組で解決できる問題ではないのか?
(ミクロではなくマクロの問題)

そのように考えに至ったのです。


3.逆説の主張


静かな退職とは
どういった人のことか定義を記載します。

【静かな退職の定義】

・企業には所属しているが、
 最低限の業務をこなしながら働く
・仕事とプライベートを切り離し、
 仕事に対してやりがい等を求めない働き方

これを具体的な行動ベースで考えて
いくつか列挙してみますね。

【静かな退職を選択した人の行動】

・毎日定時に退社する
・時間外はメール確認や電話に出ない
・職務記述書に記載のないプロジェクトは断る
・風邪と偽り、プライベートの用事を行う
・簡単な業務のみ行う
・意欲的に仕事に取り組まない
・仕事をタスクとして捉え最低限の品質で行う
・WEB会議中にカメラをオフにして居眠り

他にも色々あると思いますが、
典型的な例を挙げてみました。

実際に「私もこんな行動しているな」と
思い当たる節はあるのではないでしょうか?

でも、これを自発的に行動しない、
意欲のない社員とレッテルを張るのは
ちょっと違うと思うのです。

私は上記の例で
必要な職務を果たしているからOK
なものと
職務放棄なので指導対象となりNG
なものを混ぜてみました。

あなたは
この中でNGな行動は何個見つかりましたか?

順番にひも解いていきます。

まず、問題のないものを挙げてみましょう。

・毎日定時に退社する
・時間外はメール確認や電話に出ない
・仕事をタスクとして捉え最低限の品質で行う

これらは職務遂行に影響がなく
定められた基準をクリアしていれば
咎められるものではありません。

むしろ、残業が当たり前、休日も電話を出てなんて
言われる会社の方が労基へ通報するレベルだと思います。

次に、グレーゾーンと思うものです。

・職務記述書に記載のないプロジェクトは断る
・簡単な業務のみ行う
・意欲的に仕事に取り組まない

職務の責任を超えた仕事は断って問題ありません。
その代わり、なぜ断るのか?その理由と
代替案くらいは提示して欲しい所と上司から
残念な評価を受ける可能性はあるでしょう。

残り二つも同様に、職務の責任を果たさない行動は
咎められても仕方がありませんので
最低限、何をしないといけないかは
お互いに明確にしておく必要があると思います。

最後に、明らかにNGな行動が2つあります。

・風邪と偽り、プライベートの用事を行う
・WEB会議中にカメラをオフにして居眠り

これは意欲云々の問題ではなく、
明らかに指導となる対象です。
指導を続けても職務の責任を果たさない社員は
普通解雇の対象になる可能性もあり
注意が必要です。

つまり、過去の評価制度では
全部やる気が感じられないからバツも
現代では違うことは伝わったでしょうか?

日本型雇用における
過去の古い評価制度の名残りが原因で
現代の価値観に合わない仕組みとなって
表面化した事象ではないでしょうか?

さらに、私なりに追加すると

御社の評価制度は
職務の責任の範囲が明確ですか?

それは、従業員と管理者の間で
明示され、お互いに確認できる状態ですか?

そして、従業員と管理者の間で
きちんと共有され、納得感がありますか?

こう主張したいですね。


また、従業員の立場で見たときに

現在の給与レンジで納得感があり
上のステージを望まないという意味で
職責の仕事をこなしているのならば、
それは「静かな退職」ではないのです。

管理者
「もっと自発的に意欲をもって仕事しなさい!」

従業員
「いえ、私は今の仕事内容と待遇に
 満足していますので、これ以上はちょっと…」

分かり易く言うと
このような状態ではないですか?

評価制度の主旨を違えて
従業員へ過度な期待を押し付けた結果
その選択が「静かな退職」だとするならば、
企業側に大部分の責任がある
そういった主張なのです。


如何だったでしょうか?

従業員エンゲージメントが影響しているから
様々な指標から効果のありそうなものを
管理者が積極的に関与して改善しょう!

という、前回の私の理論よりも

企業側の評価制度が古いのです。
考えを改めなさい!

といった、今回の説の方が
メッセージが分かり易いですよね?

だから、この理論にも正当性を感じたため
今回ご紹介をさせていただきました。


4.静かな退職の正体とは?


今回のタイトル

【逆説】静かな退職を生み出した原因は
日本型の〇〇かもしれない


この〇〇とは、「評価制度」のことで
日本型の自発的行動を従業員へ丸投げする
マネジメント手法の歪みが生み出した現象で
SNSでバズったことで生まれた
トレンドワードになります。

そこへ、
(私もその一人ですが)
人事のコンサルタントが不安を煽り、

「身に覚えがあるでしょう?
 解決したければ、このサービスを…」

となってしまう訳です。

「いや、SNSなんだから
 それで全然構わないじゃないか?
 企業が運営する以上、
 ボランティアじゃないんだから…」

そんな批判が聞こえてきそうですね。

…ということで、

静かな退職」とは
人事サービスを提供する企業が生み出した
「商業ワード」である。

このように考えました。

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