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もう一つの形

手を繋いで離さないでいることが
愛だと思っていた

時間を過ごすことは
変わっていくということだから
どうあっても、手を離さない覚悟
繋ぎ続ける愛おしさ

それも、もちろん一つの形だと思う

けれど、手を離すことも
それもまた、愛だと知った

手を離した方と
離された方と
どちらが悲しいなんて
そんなシーソーゲームはやめよう

遠くを見て、瞳の奥の奥を見て
端と端へゆっくり歩いていこう

真ん中を支える三角がない世界へ
ゆっくりとワープする

ああ、これも愛おしいね
きっと幸せになってほしい
ただ、そこに私がいないこと
それも一つの愛の形だ

つなぐ作業が笑いあえなかったら
それはもう離れるという愛のはじまりだ

これが綺麗事だと笑う人もいるだろう
いつか分かってくれるだろうか

いや、分かってくれなくても
いいことだ
何が間違っていて
何が正しいかなんて
どこにもないのだから

ただ、私がみつけたもう一つの形

それをゆっくり溶かしていく夜の帷

空気がしんとしている
ほうっと、息を吐いたらしろいもやが
紺碧に溶けていく

ほろほろと落ちてくる
暖かさが、今ここにあることを
知らせてくれた

きっと私も幸せになるのだ

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