5分でわかる子宮頸がん14 「たばこと子宮頸がん➁」
前回の記事「たばこと子宮頸がん➀」に引き続き、たばこと子宮頸がんの関係性についてご紹介したいと思います!
たばこと卵巣機能の関係
卵巣は子宮の両脇に一つずつ存在し、卵子の生成、成熟、排卵を行う生殖器官であるとともに、女性ホルモンを分泌する内分泌器官です。
それらはたばこの影響を受けやすく、過度に喫煙した場合様々な形で異常を引き起こしていきます。
・女性ホルモン、とくに卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌減少
・卵巣の中の卵胞の発育悪化
・月経不順の増加(月経期間の短縮、月経周期の不順、稀発月経など)
・不妊率の上昇(妊娠率の低下、受精卵の質の低下、流産の増加)
・不妊治療の成績悪化(体外受精でも妊娠率は非喫煙者より約50%低い)
・閉経年齢が早期化(非喫煙者と比べて2年ほど早い)
なぜ卵巣の働きが悪くなるのか
タバコに含まれているニコチン、一酸化炭素やタールなど多くの物質が卵巣の働きに悪影響を与えます。
➀女性ホルモン、とくに卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少します
喫煙によりニコチンは卵巣の血流減少を起こし、一酸化炭素により酸素欠乏が起こり、女性ホルモン(とくに卵胞ホルモン・エストロゲン)を作るための 酵素の働きを低下させるため、女性ホルモンができにくくなります。
②女性ホルモンを早く失活させます
卵巣で作られた女性ホルモンは卵巣から血液中を通って、子宮、膣、肌、骨などに到達し作用しますが、その途中で肝臓で代謝され(壊されて)徐々に作用が弱くなります。
この肝臓での代謝をたばこの成分は促進させるので、女性ホルモンが早く失活するため、血液中の濃度が低下します。
③細胞での活力を減少させます
身体の中の器官の個々の細胞の活力にはカルシウムが必須ですが、たばこの成分は、このカルシウムの代謝に悪影響を与えて細胞の活力を減少させてしまいます。
当然女性ホルモンに関係する体の中の細胞の活力も喫煙により減ることになります。
子宮頸がんによる死亡リスクは2.3倍増加します
子宮頸がんの原因であるHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)は性交渉によって感染しますが、多くは免疫力で自然に消えていきます。しかし一部の人では持続感染したまま経過し、子宮頸がんの発生につながるのです。
喫煙は体の免疫力を低下させるので、HPVに感染しやすく、持続感染しやすくなるために、子宮頸がんに罹りやすくなります。
まとめ
喫煙習慣のある方は今すぐ禁煙するか、あるいはその努力をすることで、長期的な健康被害の可能性を大幅に低減できます。
この記事をご覧になった方は、一度自身の生活を振り返ってみてはいかがでしょうか?
参考文献
医療法人社団 村口きよ女性クリニック(2017年)「女性とタバコの害」
http://www.muraguchikiyo-wclinic.or.jp/kinen.html
【このnoteを書いたのは】 インターン生 高橋杏佳
早稲田大学所属。普段はHatch Healthcare株式会社で、noteの記事作成や
PR活動を担当。