見出し画像

ドット絵リメイキング『女性を騙さないプリン』

ぼくはあまり素直じゃないやつなので「○○が好き」とはあまり言わないのですが、プリンが好きです。大好きです。ああ……好きです(しつこい)

かつて泊まり込みが多い仕事をしていたとき、職場の近所のコンビニへ夜食の買い出しに行っては欠かさず焼きプリンを買っていたものです。ええ、めちゃくちゃ太りましたよ。大好きなプリンは本当に恐ろしいやつでもあるのです。

ということで、今回のドット絵メイキングは「ある意味おそろしい」を口実に「合成モンスターを作ろう」企画で素材のひとつとして作成した『プリン』です。いただきます(気が早い)

ところでプリンは大きく描きたいものではないのですが、今回はモンスターにするための素材だったという事情から、最終的なキャンバスは他の画像に合わせて少し広めの32x32ドットになります。

とはいえ、やはりキャンバスいっぱいに描くものでもないで、中央にプリン本体を描き、その周囲にカラメルソースを広げることで全体を構成するものとしてバランスをとります。

プリン本体を描く

まずはプリン本体をひと回り小さく24x24ドットで描いていきます。

今回のように広い全体の一部を構成する絵も、フリーサイズで描かずに他の絵と近いサイズで描いておくと、他の絵と並べたときに統一感を出しやすくなるのでオススメです。

手順①シルエットを決める

手順①では、まずバケツをひっくり返したような形状を描き、プリン本体のシルエットを決めます。

「お皿に出したこのかたち、プッチンプリンでは?」と思うところですが、あれはカボチャのように「モコモコ」した形状なので違います。

とはいえカップ状の容器に入った普通のプリンをひっくりかえしても、こんなにキレイにお皿には出せないのであくまでフィクションです。普通のプリンを無理にお皿に出そうとしてぐちゃぐちゃにしたことがある人は挙手しなさい! ノノノ

手順②色分け

手順②ではざっくり色を塗り分けています。

ここで白身(って言いたくないのですが便宜上)に「やわらかさ」を出そうとして明暗の境界を曲線にしているのは初心者がよくやる誤りです。また、焼き目と白身の境界に入れた中間色がカラメルソースのツヤのように見えてしまうのも良くありません。どちらも、あとあと直していきます。

手順③焼き目を描き込む

手順③では、焼き目を描き込んでいきます。

まず天井の面を明暗2色にわけたうえで、手前側にハイライト線を入れます。さらに、懸案の焼き目と白身の境界部分に1色加えて境界を少し曖昧にしました。

手順④白身を描き込む

手順④では、白身部分に1色加えて計3色体制で丸みを出そうとしていますが、まだ色同士の境界が曲線になっており、なんだかヘンです。思いきりの悪さを感じます。

とはいえ全体像が見えてくる前に細部にこだわるのは良くないので、プリン本体の形状は概ねこれでOKとしましょう。先へ進めることにして、ここでキャンバスを32x32ドットに広げます。

カラメルソースを描く

プリン本体の周囲に溢れたカラメルソースがお皿(描かれない)のかわりになるイメージで描いていきます。

手順⑤カラメルソースを描き足す

手順⑤では、まず溢れるカラメルソースの池をざっくり描き足しています。まだ下描きです。

溢れたカラメルソースは「人が制御できない部分」であることを明確にするため左右対称にならないように気を付けています。

細かいところではプリン本体の外周のうち、カラメルソースの池と重なる下部は色を暗いものに変えて、「プリンの外周」から「ソースの池の最深部」という感じに衣替えをしています。

手順⑥ソース池を描き込む

手順⑥では、天井の焼き目の部分をただの焼き目からカラメルソースが被った状態へ手直ししています。もともと手順③でハイライトを入れたときに半端にソースを被せた状態になってはいたんですけどね。

具体的には天井の中央付近に暗色を加えるだけですが、気持ちのうえでは「少し透明度のあるソースのなかに、光を遮られて焼き目が暗く見えている」というハイレベル表現を駆使しているつもりです。気持ちのうえでは。

そして同じ気持ちでソース池も描き込んでいきます。プリン本体があるソース沼の中心に向けて少し暗い色を置きつつ、さらに「右が明るく左が暗い」を意識して塗っていきます。

なお、本来ならソース池のツヤ部分の明るさは天井と同じでもいいのですが、あくまでプリン本体が主役なので少し目立たないよう控えめにしています。ソース池は舞台や背景のようなものですからね。

以上で、『プリン』はできあがりです。

うーん、でもなにか足りないんですよね。もうちょっと美味しそうにしたいんですが、どうしたら良いのでしょう?

おいしいプリンを見分けるには

ここで余談のようで余談でない謎トークが始まるわけですが、さんざんプリンを食べてきたぼくは、食べずに美味しいプリンと不味いプリンを見分けられるようになりました。しかもプリンそのものを見る必要もなく、パッケージデザインだけでわかります。

本気で語ると超長くなるし気味悪いので手短に話しますが、美味しいプリンとは「卵をケチらない」ものであり、不味いプリンとは相対的に卵の量を減らしたものすべてです。

主に女性向けをうたって「ミルクたっぷり」とか「やわらかさアップ」と書いてあるもの、あるいはそういった文言はなくても「女性向け」の配色をしている「さわやか」「ヘルシー」「ビューティー」系パッケージのプリンはすべて劣化品『誰得プリン』と決めつけて手に取るのをやめてOK!

そもそも女性にやたら美や健康、さわやかさを押し付けて抑圧し、逆説的に安全圏を提示するようなものはすべて詐欺(極論)! 実際には利益増大のためのコストカットで質を低下させているだけです。それでいて「女性のお客様が大事」みたいな顔をして店頭を不味い商品で埋め尽くすことは……

おっと、手身近にする約束でしたね。先へ進みます。

黄身を加え、嘘のやわらかさを排除!

それでは、長年の経験を活かして最終調整を行ないます。

もちろん卵が重要といっても「卵白多めでヘルシー」ではダメ。大切なのは卵黄です。

手順⑦最終調整

まず、便宜上やむなく「白身」と呼んでいた部分に少し"黄色味"を加えます。そして、曲線によって不自然なやわらかさを出そうとしていたのをやめて色同士の境界を直線的に変えました。

身の丸さ(=やわらかさではない)については、使用色を1色加えて色同士の差を減らすことで固さを減らします。また、最明色は右端に寄せて細くすることで「身が白いわけではなくハイライト」に見えるように変えます。ハイライト~、ハイライト~、と念も送ります。ハイライト~。

以上で、完成です!

ま、「食べちゃいたい!」というほど美味しそうになったわけではないんですが、もともとの「なにか足りない」感はいちおう払拭できたのではないかと思いますがいかがでしょうか?

自画自賛になりますが、長年いろいろなプリンを食べてきた経験を活かせたことをちょっと嬉しいです。それでも最初は無意識に「なんとなく白め」に、「なんとなくやわらかく」してしまったことには不甲斐なさも感じます。

またまだ修業が必要ですから、美味しいプリンを求める旅を続けなければなりません!

いまどき、プリンに限らずお店に売られている商品は利益率の高い一種類に限られることが多く「選べない」ことが増えていますが、手近に売っているもので妥協せず、少し遠出をしていつもとは違う商品を手にしてみるのもいいかもしれません。

美はともかく「健康」は、美味しいプリンを求める旅そのもので獲得すればいいのです。

(おしまい)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?