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イールドワークで学ぶ空間身体学 第6回 身体のオーケストラ的共鳴が他者との絆をつくりだす

「言っていることや方法は正しいのになぜしっくりこない」
普段生活するなかでそんなことを感じたことはありませんか?
それとは逆に、

「理由はないけれどこの人といると安心できる」

ということもあるのではないでしょうか?
その理由は、私たちの身体が無意識のうちに相手や自分がいる環境に対して常にアンテナを張り、そこが自分にとって安全で「身を委ねられるか」を判断しているからです。
この「身を委ねる」という行動は「イールド」と呼ばれ、私たちは生まれた瞬間から身に備わったこの能力を使って積極的に安心できる相手や場所を選んで生き抜いています。
この連載ではこの能力「イールド」を知るとともに、上手にそれを使って自分を安心させたり、他人をリラックスさせたりする方法を、イールドワークの第一人者である田畑浩良さんにご紹介いただきます。アシスタントはイールドの達人(?)である猫を代表してニャンコ先生です。

連載 安心感と自己調整能力の鍵は「間合い」

イールドワークで学ぶ空間身体学



第6回 身体のオーケストラ的共鳴が他者との絆をつくりだす
文●田畑浩良
取材協力●半澤絹子
ゆだねるという動きを促進するボディワークである「イールドワーク」。

今まで、主に「自己調整力」という観点からイールドについて説明してきましたが、もう一つ、イールドには「安心感を得る」という大事な働きがあります。

第6回は、「イールドと安全の関係」について詳しく解説していきます。

安全と危険の両方に反応できるのが機能的な身体

 最近、「心理的安全性」というキーワードが人気になっています。

心理的安全性とは、企業などの組織の中で、非難されることなく安心して発言できる環境づくりを指すようです。

安心できる場所にいて、今いる場所に身をゆだねられていることは、「心理的」以前に、生物が生存・成長するための必須条件になります。

そもそも、ゆだねるという動きは、生命の始まりから見られるものです。

「ゆだねる」見本はニャンコ先生です。

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