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連載 セルフタッチング入門 第5回 皮膚に残る“原初の記憶”とは

 人に触れられたときに感じる、やわらかで、あたたかで、包まれるような感覚は、実は子宮の中での体験が一番の始まりだった!?
 今回は「タッチケアの心地よさは、どこから始まるの?」という、“原初の記憶”についてです。この記憶をたどる中からわかる、タッチの根源的な必要性についてまとめました。

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わたしに触れる、コロナ時代のタッチケア

セルフタッチング入門


第5回 皮膚に残る“原初の記憶”とは
文●中川れい子


発生学から見る、“最初のタッチ”はいつから?

わたしたちの皮膚はいつから、「触れられる」という体験をもつのでしょうか?
それは、実は子宮の中から始まっています。今回は“子宮を巡るタッチの旅”からお話をはじめましょう。

まず、赤ちゃんが産まれるまでの経過を、ひも解いてみましょう(高校の生物のおさらいとして。難しいと思ったら、読み飛ばしていただいても大丈夫ですよ!)。

ヒトは、精子と卵子が出会うことで「受精卵」になります。この受精卵は子宮壁に着床したあと、細胞分裂を繰り返しながら、外胚葉・内胚葉・中胚葉という3つのパートに分かれ、そこからさまざまな体の器官が発達していきます。
このうち外胚葉からは、脳や神経、そして皮膚ができます。このように、皮膚、脳、神経は同じ起源をもっていることから、「皮膚は露出した脳」と呼ばれることもあります。

さらに、脳(中枢神経系)が発達するにつれ、だいたい妊娠32週目までには全身の皮膚感覚が働きはじめ、聴覚も発達して、お母さんの声などを判別できるようになってきます。

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