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DX物語(2)~「個人レベルの便利ツール」に留まりがちな日本のXなしDXモデル~

経済産業省様のDXレポートでは、手厳しく日本の経営にXが無く、周回遅れであると指摘して、ビジネスモデルを変えろとか、社内文化を変えろと書いていますが、日本の経営者に対して、DXという文脈で語ってもあまり通じないだろうと思っていましたが、案の定通じていないようです。

デジタルツールに相対した反応は、経営者のスペックによって分かれる


デジタルは情報を早く処理するツールで、それ以上でもそれ以下でもありません。デジタルのソリューションとかなんとかってのは、極端な話「四則演算が一瞬でできるようになりますよ」というような類の話なんです。

ただ、これを聞いた反応が、経営者のスペックで異なります。

例えば、「四則演算が一瞬でできるようになりますよ」と聞いたら、

  • 極めて少ない、感度の良い経営者は「すげぇ!あんなKPI管理や、こんなKPI管理もできるかも」と戦略レベルのXを考え始めます(XありDX)。

  • 約半数の感度の低い経営者は「そのうち経理担当者にでも使わせるか」と作業のことを考え始めます(XなしDX)。

  • そして、残りの半数の経営者は「良い話を聞いた。まぁうちには関係ないな」で、翌日には忘れています。(DもXもない)

これは言い過ぎでも何でもありません。

生成AIに関する、あれやこれやのアンケート調査で、ことごとくこの傾向が出ているため、蓋然性の高い事実であることがわかります。例として一つリンクを貼っておきます。

今は、生成AIのまわりで「XありDX」と「XなしDX」の差を観察できる

比較的コモディティ化の進んでいない生成AIを見ると、世界の「XありDX」と日本の「XなしDX」「DもXもない」が明確にわかります。

日本では生成AIは主に「個人作業のスピードアップ」というXなしDXの文脈が目立ちます。これは日本国内の大手ITサービス屋さんのプレゼンでもそうだったりします。

生成AIを使っていない経営者はダメだ、と息巻いく経営者さんの生成AIの使い方も、よくよく聞けば壁打ちだったり、メール草稿の作成だったりと完全に個人の生産性向上、XなきDXに留まります。

一方、海外のITサービスのプレゼンテーションを見ると「戦術、いや戦略レベルで変わっちまうぜ!こりゃ!」というXありDXの文脈が目立ちます。

最近、わかりやすいなあと思ったのは、Salesforceのプレゼンで、CRMのプロセスどころか、サービスモデル自体を変えにかかってきていたりします。

本当にうまくいくかどうかはよくわかりませんが、発想が偉く違う事だけgはよくわかります。

このように、日本はDXと言いつつ、これまで通り「XなしDX」モデルに留まり、経済システム、社会システムの周回遅れがさらに遅れてしまう予感しかありません。

そんな状況を主観的・客観的に描くことで、ちょっとでも「XありDX」という事に気が付く人が出てきてほしいと思っています。

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