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DX戦記〜日本のDXについての試論(3)中間まとめ

ここまでの論議のまとめ

ここまで、日本がなぜDX、DXと言っていながら全くのオールドファッションでアンチ生産性の経営が蔓延っているのかという事を考え、どうしたらそれが何とかマシになるのかという事を目標に考えてきました。

発端は、DXというお題目では変われない経営層へのアプローチ探し

「IT化とDXは違う」という分かりやすい論議は正しいのですが、これで経営が動く気配がないのは、おそらくデジタル方面で経営支援をしている方なら痛いほどよくわかると思います。

そこで、もっと根本的なところまで突っ込んで、どうしたら伝わるのかという事です。見捨てるのは簡単ですし、最近はそれしか無い気がしてきたのですが、日本語で手に入る情報にも問題(ノイズ)が多く、気づけば変われる人もいる可能性があります。

そこで、私は、危機感をもって変われる人を変えるのも、総合に手っ取り早いという考えに基づいてます。

日本の経営層が持っているデジタル技術のフレームワークは古すぎるという事

まず日本の経営層は、デジタルに無知なのではなく、数十年前のデジタル技術のフレームワークを知っているという事実です。

つまり、今のようにコモディティ化していない頃の考え方でデジタル技術を扱おうとします。

代表的な考え方は「10年間の使用に耐える情報システムを作る」という発想です。

競合が半年単位で業務プロセスを変えており、環境が変化し続けている中で「10年も使える情報システム」を作ることは人間には不可能です。

従って、情報システムの更新は永遠にスケジュール延期となり、ソフトウェアはそのまま、ハードウェアだけ更新されて、現場の人的努力によってつじつまを合わせていくことになります。

これが、日本の労働生産性の低さの原因といって間違いはないでしょう。

古臭いデジタル観に基づく経営アーキテクチャは近代化されていない

ここまでの話ではまだ弱い。
「新しいデジタルツールを入れて生産性を上げましょう」と経営者に言ったところで「こないだIT導入補助金でデジタル化した」とか「わが社は大手ベンダーに何億円払って云々」とドヤ顔をされてしまうでしょう。

そこで、古いデジタル観の経営アーキテクチャが前近代のものになっているという事まで突っ込んで説明をする必要があります。

例えば、子会社との連絡に「伝書鳩」を使う合理性は平時には全くと言ってありません。

新しい技術を採用した経営アーキテクチャの組織は、古いアーキテクチャの組織と比べて、意思決定に必要な情報を集める時間は100分の1、情報量が100倍程度です。そして、取れる戦略オプションは30倍になります。

どこかの国の国会の本審議ではオンライン化もされず、タブレットの使用が出来ず、顔を突き合わせて紙ベースで仕事をしています。
どう見てもオンライン化した方が議員の非稼働時間は減りますし、情報の閲覧性でタブレットです。これが趣味サークルの会議なら大した問題ではありませんが、一国の意思決定をする会議は影響が甚大です。

我が国では学生サークルの会議もオンラインで行われていますので、一国の命運を決める会議より、学生サークルの会議の方がアーキテクチャ面で優位性があるという奇天烈な事態が生じています。

近代化されていない古臭い経営アーキテクチャは、このような弊害を生みます。

日本の経営で語られるDXは、「DXが起きている外部環境に適応しよう」という事にすぎないのです。

と、ここまでのまとめを書くつもりが、えらく長くしまったので次回へ。

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