日本のDXについての試論(2)
日本のDXの真髄について考えた
最近のDXブームを見ていると、その成熟度には疑問が残ります。クラウドを使っているから大丈夫という無責任な発言や、セキュリティの基本すら知らないDX講師のセミナーが横行しています。数十冊ものDX関連の本を読んで、ようやく「日本のDX」の真髄に気づきました。
流布されたDXのイメージを忘れて考えると
市場はDXなんて評価しても意味がない
企業活動で本当に重要なのは、市場に提供する価値とその過程です。「デジタル技術を活用しよう」というのは内部の話であり、顧客にとっては無関係です。
繰り返しますが、市場が評価するのは、最終的に提供される顧客価値と、その過程におけるコンプライアンスであって、それがデジタル技術を使ったかどうかなんてのはどうでも良い事です。
では、日本企業が「DX、DX」というのはなぜでしょうか。経済産業省が「DX、DX」というのはなぜでしょうか、それを考えてみましょう。
日本のDXの意味は「経営を近代化しよう」
ここで、ヒントになるのは本来のDXの意味「デジタル技術が生活世界を豊かにした」です。
日本の企業の多くは、デジタル技術が生活世界を豊かにした恩恵を受けていないのは、皆様が日々感じている通りです。
つまり、日本のDXとは、デジタル技術であれこれ変わっている世界(DX)について行きましょうね、という事です。
つまり「経営を近代化しよう」という事です。
近代化という言葉自体は、あまり馴染みが無いかもしれませんが、モダナイゼーションと言えばフワッと曖昧に理解した感じになれるでしょう。
そして、近代化されていない経営は、顧客価値を生み出す力は相対的に弱いので、経営難となり、いずれ消滅します。
このことは、先日、2024年版の中小企業白書の中で明らかにされた事とも合致します。
日本のDXを「経営の近代化」と見なせば、だいたい腹に落ちる
そういうわけで、日本で言われているDXは、単なる経営の近代化という意味であり、「経営の近代化」と読み替えることができます。
DX銘柄
経営の近代化を図っている企業。市場競争のスタートラインに立てている企業。DXガイドライン
旧式の経営テクノロジーや手法を現代的なものに更新するための指針。DXレポート
日本企業の経営の近代化の具合についてのレポート。
企業が「DX戦略」と掲げるのは勇気ある行動だが
そうすると、企業が「DX戦略」を掲げるのは「自社の経営が遅れていて競争力が無い」と周囲に告白していることになります。
なかなかの勇気ではありますが、「うちの経営は古くて競争力も無い」と外部に告白するまで酷いことにした経営陣は引退したほうがよいでしょう。
日本のDXはどう解消していくのか
日本のDXは、「経営を近代化しよう」と言うと身も蓋もないので、横文字でちょっと格好良い風にしたものという事がわかりました。
近代化されていない好事例と言えば、国会本審議でタブレットが使えない事が挙げられます。
ちょっと昔に「データドリブン」というバズワードが出てきましたが、それ以前にデータの収集や流れができていないので、もっと手前のDXがヒットしたのしょう。
なんせ、日本の多くの企業は経営者から従業員まで、近代化されていない事に慣れきっています。それで良いと思っている状態です。
これを解消する方法は、なかなか難しいでしょう。
これから、あれこれ考えていくことにいたしましょう。
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