【医師論文解説】勃起もトレーニングが重要!? 「スイッチ」を握るのは〇〇だった!?【Summary】
勃起は性生活に欠かせない大切な過程ですが、その仕組みの全容はこれまでよくわかっていませんでした。今回、ハーバード大学の研究チームが、陰茎海綿体にある線維芽細胞が勃起を左右する鍵となる役割を果たしていることを発見しました。
従来の理解では、性的興奮時に放出される一酸化窒素などが血管を拡げて勃起を起こすと考えられていました。しかし、線維芽細胞にスポットライトが当たり、勃起メカニズムの新たな一面が明らかになったのです。
線維芽細胞は陰茎海綿体に豊富に存在する細胞で、その数が勃起能力を左右することがわかりました。線維芽細胞が多けれるば、血管収縮物質ノルアドレナリンの働きを抑え、勃起を促進できるのです。
さらに驚くべきことに、線維芽細胞の数自体が、勃起の頻度によって調節されていました。勃起が増えるとNotchという分子経路が抑制され、線維芽細胞が増殖。一方、勃起が減ると逆にNotchが活性化して線維芽細胞が減少するという具合です。
加齢に伴い線維芽細胞が減ることも明らかになり、これが高齢者の勃起不全の一因となっている可能性があります。線維芽細胞を増やせば、勃起能力が改善される可能性も期待できそうです。
今回の発見により、勃起の分子メカニズムがさらに解明されました。線維芽細胞が「勃起のスイッチ」の役割を果たしていたことに、誰もが驚かされたことでしょう。今後は線維芽細胞を標的とした新しい勃起不全治療法の開発が期待されます。
所感 線維芽細胞数が勃起頻度によって変動するという発見は勃起の可塑性を示すものです。生活習慣が大きく影響する可能性もあり、予防医学の観点からも重要な知見だと思います
参考文献 Guimaraes, Eduardo Linck et al. “Corpora cavernosa fibroblasts mediate penile erection.” Science (New York, N.Y.) vol. 383,6683 (2024): eade8064. doi:10.1126/science.ade8064
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