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カードを使った知的生産のヒント:レビュー『知的生産の技術』梅棹忠夫

先日、久しぶりに『知的生産の技術』を読み返しました!

10年ほど前に一度読んだきりでしたが、多くのことを忘れてしまっていたので、とても新鮮!

1969年に書かれた本であり、タイプライターの使用など、古いと感じる部分もありますが、「知的生産」というテーマは時代を超えて普遍的なものであると感じました。

今回は、本書でとくに印象に残った「カードに情報をまとめる」という方法について、3つの視点から解説します。


1. 使用するカード

著者である梅棹忠夫さんは、B6版の大きさのカードを使用していました。

現在売られている京大型カードは、梅棹氏が特注したカードをベースに作られたようです。

彼はこのカードを常に持ち歩いていたのだそう。

そのさいは、2枚のプラスチックのかたい板で、50枚ほどのカードをはさみ、ゴムバンドでまとめていたようです。

2. カードには一体なにを書くのか?

カードを書くときには、以下のようなポイントがあります。

・一枚に一つのことを書く
・カードは片面だけに書く
・記憶するためではなく、忘れるために書く
・カードの左下に日付を記入する
・上に見出し(一行サマリー)を書く:
・カードの中身は一行だけでもOK

具体的には、以下のように書かれていました。


本書、p.63より

では、具体的にいったい何をカードに書くのでしょうか?

梅棹さんは、カードに書くべきものは「発見」だと述べています。

日常の中で興味を持ったこと、新しいアイデア、疑問に思ったことなどを、短い文章で記録します。

彼はこれを「豆論文」と呼んでいました。

また、梅棹氏は日記もカードに書いていました。

ただし一般的な日記とは異なり、自分の心の状態よりは、客観的な事実や出来事を重視して記録

いわば、「自分自身に向かって提出する経験の報告書」のようなものを残し、のちのちの資料になるように記録していました。

3. カードの分類はゆるく

カードの管理方法として重要なのは、分類よりも「操作」だと梅棹さんは強調しています。

カードをひんぱんに並べ替えたり組み合わせることで、一見関係のないカードのあいだに、おもいがけない新たな発見やアイデアが生まれます

そしてその発見を、あらたにカードに書き起こすのだそう。

たしかに、カードを厳密に分類してしまうと、カードを死蔵させてしまいます。

ぼくは基本的にカードではなく、ノートを使っていますが、ノートは「時系列に厳密に分類されている」と考えることができ、まさに死蔵した状態です…

厳密にではなく、あくまでもゆるやかにカードを分類し、カードを操作することが重要とのこと。

言いかえると、知識の客観的な内容によって分類するのではなく、個人的な関心のありかたによってカードをならべることを指します。

ただ残念ながら、具体的にどうやってカードを「操作」していたかについては、詳しく本では触れられておりません。

そしてもう一つ疑問なのが、索引づくりについて。

梅棹さんはつくったカードに対して「索引」を作成すると述べていますが、ゆるやかな分類では、索引を作成しても探し出すのが難しいように思えます。

ドイツ発の知的生産術、ツェッテルカステンでは、各カードに固有の番号を付けて、順番にならべて管理することで、索引をつかって効率的に情報を検索することが可能です。

しかし、梅棹さんのカードの場合は、このような記号がなく、あるとすれば日付だけ…

なので、いったいどのように索引を作成し、カードを管理していたのかがナゾです。

まとめ

知的生産の技術』は、現代においても参考になる多くのアイデアが詰まっています。

とくに、本のふしぶしで登場する梅棹さんの「自分で一番使いやすいツールは、自分で開発する」という姿勢は、ぼくたちに大きな示唆を与えてくれます。(梅棹さんは、カードだけではなく、原稿用紙からびんせんまで、特注して作らせていました。)

情報過多の現代において、自分にとって最適な知的生産の方法を見つけるために、本書を参考に、さまざまなツールや手法を試してみることをオススメします。

明日は、本書から学んだ「読書」についてをまとめたいと思います。

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