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現実で失敗できる環境をつくる大切さ:橘玲『裏道を行け』レビュー

「ふつうに生きていたら転落する。」
という衝撃的な表紙に惹かれて
手に取った橘玲さんの
裏道を行け ディストピア世界をHACKする』。

知識社会が高度化し、
生きづらさを感じる人が増えている現代社会。

本書では、
「常識やルールを無視して普通の人たちの上を行く」
という「ハック」の考え方を軸に、
さまざまな角度から
人生を攻略する方法が紹介されています。

今回は「現代社会の問題」、
「負けると分かっているからこそハマるギャンブル」
「現実をゲームに」という3つの視点をご紹介します。


知識社会の高度化がもたらす問題

今の社会で起きていることを
一言でいうと「知識社会の高度化」。

これは、仕事に必要とされる知識やスキル、
学歴や資格といったものが、
どんどん高くなってきていることを表しています。

求められるハードルが高くなればなるほど、
それを乗り越えられる人の数は限られることに...

とくにアメリカは知識社会の超先進国。

そんなアメリカでは、
絶望的な気持ちから自殺する若者が増え、
白人の平均寿命が短くなるという
驚くべき現象が起きています!

そしてこの事実に対する怒りが、
トランプ現象につながる
ひとつの要因となったといわれています。

ギャンブル依存症:負けると分かっているからこそハマる?

このような辛い現実の中で、
人々は現実を
「コントロールできない」ことに苦しんでいます。

そこで、ギャンブルに逃げ込む人が増えています。

そもそも、ギャンブルには
人を依存させる仕組みが
巧妙に組み込まれています。

さいきん話題になった水原一平さん
(大谷翔平選手の元通訳)も、
ギャンブルに人生を狂わされた人の一人でした。

ただ本書で興味深かったのは、
ギャンブル依存症になる人には、
「負けると分かっている」からこそ、
ギャンブルにのめり込むという人がいるということ。

「負ける」という行為を
「選択できている」という感覚、
つまり「コントロールできている」という感覚は
コントロールできない現実への反動として、
ギャンブル依存症を生み出しています。

現実をゲームのように捉え、失敗から学ぶ

子供たちがゲームに夢中になる理由は、
失敗しても大丈夫だから。

逆に、失敗のないゲームは
すぐに飽きてしまいます。

優れたゲームは、失敗から学び、
上手くなりたいという気持ちを
刺激するよう設計されています。

いっぽうの現実世界では、
失敗は挫折感を与え、
希望を失わせてしまうことがあります。

だからこそ、若者たちは
バーチャル世界に逃避することに...

本書では、現実をゲームのように捉え、
失敗から学ぶことで、
人生を攻略するという提言がされています。

このことは個人的に大賛成です。

そもそもサラリーマンを辞め、
主夫になったのも「失敗できる環境」に
身を置くためでした。

会社勤めをしていたときは、
「なにか問題になるといけないから」と、
SNSの発信さえ控えていました。

そして、主夫になってから、
フランス語習得を挫折、
アニメづくりに挫折、
マッスルアップに挫折など、
本当に失敗しかしていませんw

まとめ:ハックとは常識やルールを無視して、自分なりの道を切り開くこと

橘玲さんの言う「ハック」とは、
常識やルールにとらわれず、
自分なりの道を切り開くこと。

本書では、「ハックの大衆化」という
大きな潮流が世界中で進行している様子と、
さまざまな分野でのハック事例が紹介されています。

恋愛、金融、自己啓発、ミニマリズム、
FIRE、無銭生活、利他主義など、
幅広いテーマを取り上げ、
格差社会を生き抜くためのヒントが満載。

裏道を行け』は、生きづらさを感じる
すべての人にオススメの一冊。

本書を通して、自分なりの「裏道」を
見つけためのヒントを得ることができます。

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