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レビュー『タオのプーさん』

目を引く本のタイトルといえば、やはり「意外性」があるもの。

本書のタイトルである『タオのプーさん』は、老子の教えである「タオ」と、クマの「プーさん」という思いがけない組み合わせで、不意打ちをくらいました。

以前、『プーさんと一緒にマインドフルネス』という本の書評を書きましたが、本書もおもしろく、「自分の内なる声と向き合う」という素朴な知恵について学ぶことができます。

老子という古典に興味がある人や、ストレスを感じている人、生活を見つめなおしたい人、もちろん、クマのプーさんが好きな人にもおすすめです。

タオイズムとは、無理に何かを成し遂げようとすることではなく、頭の中を空っぽにして生きることだ、と本書は教えてくれました。

本書を読んで「心に響いたコトバ」を紹介します。

孔子にとって、人生は、どちらかというとすっぱいものだった。現在は過去と足なみをそろえていないし、地上の人間のまつりごとは、宇宙のまつりごとである<天の道>と調和していないと考えていたのだ。

仏陀にとって、この世の生活は苦しみを招く執着や欲望に満ちあふれた苦々しいものだった。この世は罠をしかけ、妄想を生みだし、あらゆるいきものを苦しめる際限のない輪廻であるとみなされた。

老子にとって、そもそものはじめから天地のあいだにあった自然の調和は、だれもがいつでも見出しうるものだった。(中略)無理をすればするほど、問題が大きくなる。

老子にとって、この世は罠をしかけるどころか、貴重な教えをもたらす師だった。(中略)天地のあらゆるものの背後で作用するものを、彼はタオ、すなわち「道」と読んだ。

自分自身の<内なる自然>を知り、それを尊重すれば、自分のいるべきところがわかる。自分のいるべきでないところもわかる。

「一病長命、無病短命。」つまり、自分の悪いところを知っているものは、それ相応の注意をするから、自分は完全に健康だと思って、弱いところを軽視するひとたちよりずっと長生きする傾向がある、ということだ。

面と向かって自分の限界を理解してしまえば、手を焼いたり、妨害されたりするかわりに、いっしょにやっていくことができる。

無為の文字通りの意味は「行ったり、引き起こしたり、つくったりしない」だが、実際には、おせっかいや競走やひとりよがりによる骨折りをしない、という意味だ。(中略)無為という用語の意味するところは、ものごとの本性に逆らわず、こざかしい手出しをせず、猿のようにむやみに首を突っ込まないことなのだから。

自分の内なる力を信じて、その力を使う必要があるというだけのことだ。それをやって、他人のまねや競争をやめれば、ものごとが自分のために働きはじめる。

「知識を獲得すれば、日々ものが増え、知恵に到達すれば、日々ものが減る」(老子)

『タオのプーさん』

「今」を生きることを肯定し、この世のあらゆる変化を認め、一人の人間として自立した生き方をしめしてくれました。

タオのプーさん』は、年末年始、少し高い視点で自分自身を見つめるために使える本です。

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