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とにかく「守乱」 〜今期のファイターズを振り返る・野手編

いつものです。

いつもの私の書く記事とはだいぶテイストが違うんですけど、私って野球が好きなんですよね。
いや、最初は野球選手目当てで試合を見ていたんですよ。好きな選手を見るために野球好きの知人の知識を借りながら試合を見て、ルールや他の選手・球団を覚えていった感じ。

でも気づいたら、好きな選手が出てなくても(なんならファームの試合でも)試合に熱を持って見ていたり、新しい楽しみ方に気づいたり。そうやって改めて、北海道日本ハムファイターズというチームが好きになって行ったんですよね。

それからだんだん、選手ひとりひとりや、プレーに対して感想を持つようになっていったんです。自分なりにこれはこうなんじゃないか、とか思うようになってたんですよね。

今季は開幕も遅れたり、通常じゃない特例ルールや新しい形態もありましたが、結局リーグ5位でシーズンを終えました。
本当に、色々あったと思うんですよね。シーズンが終わった今、選手たちを振り返りたいなって思いました。

ここでやるのは選手批判なんていう大層なことじゃなくて、振り返りです。
私が主観で、私が思ったことを自分なりに解釈して、考察して、自分なりに収まりがつくようにまとめたものです。人に見せるものじゃないかもしれないんですけど。
まあ5位というよろしくない結果でしたし、やはり悪い点の方が記憶に残りやすく、そっちに寄ってしまうこと多くなるかと思います。ですが、ポジティブな面についても少なからず触れたいなとは思っています。
今回の振り返り記事は2つの記事の二部構成になります。
私がとても気になってしまった野手、投手で個別の選手ごと触れていきたいと思います。今年のことと、来シーズンに思うことも併記できたらと思います。
(選手名は繰り返し呼称するため、以下、敬称略といたします。)

今年のキーワードは「守乱」と「投壊」

今回の記事は野手についてです。

いろいろありましたが、結局はこの二つの熟語に集約される気がします。もちろん残塁とか貧打とか、そういう言葉も使いたいんですけど。
でも「打線は水物」っていう言葉もあるように、計測できないものなんですよね。野手は毎日試合があって、誰かが打てなくても誰かが打ってカバーする。そういうものだと思うんですよね、許容範囲はあれど。投手との相性もあると思います。

投壊については次回触れますが、やはりなんといってもエラーなんですよね。エラーって得点の横にスコアボードにも記録されますし、とても印象に残りました。
個人的には、特にエラーが印象的でした。なんか失点に絡んでいたり、記憶に残るエラーが多かったんですよね。

「オリエント急行事件」

エラーについて個別の選手について振り返ると切って始めましたが、やはりこの「出来事」は外すことができないのではないでしょうか?

8月13日のロッテ戦、7回裏の守備場面で1イニング間でなんと場の内野手全員の守備が崩壊し、この間エラーも2つ記録されるというとんでもない出来事がありました。
この時投手(金子弌大)は好投していたにもかかわらず、このイニングで逆転され自責点0で敗戦投手になってしまいました。

投手を囲む内野手全員でエラーを記録しつつ失点を招き、金子を敗戦投手にしてしまったという結末が、アガサ・クリスティーの『オリエント急行事件』を連想させることから、一部のファンの間でこう呼ばれています。(同作については、ウィキペディアにもあらすじが載っていて、何度もドラマ・映画化されるレベルの著名な作品です。)

動画でもあります。まあパリーグtvなので、「ロッテのチャンスメイク」「佐藤都志也の劇的タイムリー」みたいな感じで取り上げられてるんですけど。こっちがチャンス誘発してますがね。

実際には内野手全員4人のエラー・それに匹敵するプレーが10分くらいの間で起きた出来事。
珍事としてハムファン以外の野球ファンの間でも話題になりました。まったく嬉しくないですね。

こういうのって、個々の「焦り」や「緊張」みたいなものから生まれるんでしょうかね。それとも、元からある全体の雰囲気によるものなのでしょうか。
でもやっぱり、個人の守備能力によることも多いと思うんですよね。
「オリエント急行事件」の関係者、特に清宮・渡邉の両選手については次項からさっそく触れていきます。

切り口が切り口なんですけども、よくない点だけではなくいい点や来季に期待することについても触れていけたらと思います。

清宮幸太郎

若手の中では、やはりいろいろな人の意見や記事で名前を見た選手ではないでしょうか。
鳴り物入りで入団してきた経緯があるため、良いことでも悪いことでも話題になる(なった)側面は否めませんが、やはり記憶に残るエラーと打撃面の課題は強く印象に残っています。

起用においては、主に中田翔がDHで出場する際にファーストで起用されました。相手の先発が右投げの場合は、かなり積極的にスタメンで用いられていた印象もあります。

清宮ってなんでこんなに印象に残るんだろう、と考えた時に思うのが起用の疑問もあるんですけど、打撃と守備の兼ね合いだと思うんです。
清宮って、それがないんです。打てなくても攻守が多かったり、はたまたその逆も然りという、そういうのが一切ない。
どっちつかずだったんですけど、かといって二軍期間もない。そして名前と打率、そしてエラーが先行してしまう。
いろいろな人の、いろいろな意見がありました。(これもそのひとつです。)

順を追って見ていくと、チーム単位のいろいろな問題が見え隠れしてるんですよね。

清宮の起用法については、もう監督フロントその他現場によるものなので、ファンレベルが口に出せる話じゃないんです。
ですが今季において、清宮が一軍でファーストを守ることがチームには必要だったんですよね。
言いたいことはたくさんありますが、そういうことなんだと思わざるを得ないんです。

というのもとにかく、選手の層が薄い。清宮を二軍漬けにできるほど、このチームには余裕がなかったんです。
中田翔を打線で使い続けるために守備で酷使するわけには行かず、時々は指名打者にしなければならない。
一定のクオリティでファーストができる杉谷は、ほぼ中田専用の代走要員・外野控えとしてキープしておく必要がありました。
育成にしたはずの高濱を即支配下登録して、ファースト要員でわざわざ一軍に置いていた時期もあったんですが、チーム事情の兼ね合いでそれを続けることもできませんでした。
とにかく、このチームはめちゃくちゃ層が薄いんです。

清宮のホームラン数は7本でしたが、これはチーム内では3位の数字であったこともそれの裏付けのひとつです。
いや、確かに清宮の一撃で勝てた試合もあるんですけど。外国人野手や他の選手は…って、思わざるを得ない。

なんらかの補強がない限り、来年もこの状況は同じなのが苦しいところです。結局もはや打撃も守備も、いっぱい練習してくださいとしか言えないのがつらいです。それに伴って、コーチの皆さんの教える側も、今年の反省を活かして指導してほしいです。
清宮に限った話じゃないんですけどね。

でも、清宮については明らかに向上している点があります。それは出塁率。
打率もOPSは低推移で同水準なんですが、出塁率は目覚ましく成長しているんですよね。

左から①打率 ②OPS ③出塁率 ④四球数
\\ ⑤出場試合数 ⑥打席数
2018年 .200 .665 .283 16 \\ 53 180
2019年 .204 .610 .270 21 \\ 81 278
2020年 .190 .623 .300 33 \\ 96 263

変則シーズンでしたが、ケガがなかったため出場試合数自体が去年より多くなっています。数字で見ると、明らかに四球を選べるようになったんですよね。
比較的選球眼はあるなあと思ってましたけど、こんなに目に見えて増えてるとは思っていませんでした。
選球眼って、いざ身につけようと思ってすぐ会得できるものじゃないと思うので、この点は素直にすごいところだと思うんですよね。

やっぱり、ポテンシャルはあると言わざるを得ないんです。
来年はこの辺を大切にしながら、打撃と守備をもう昨年が嘘みたいに磨いてほしいっていうのが、彼に対して思うところです。
理想で言えば、近藤と中田を足して二で割ったような選手でしょうか。若干中田に寄って欲しい気もしますが。もし実現したら、夢みたいな選手ですね。
でも、それだけのロマンが清宮にはあるって私は信じています。

渡邉諒

渡邉については、序盤の絶不調が嘘だったかのようにそれ以降は持ち直し、シーズン終了時にはパリーグ打率10傑にも入るほど(全体7位、チーム内3位)、チームの打の主力として機能していました。
セカンド不動のレギュラーとして、主に上位打線に固定された今シーズンでした。

ですが、それを語るにも避けられない守備。
エラーはもちろんなんですけど、渡邉はとにかく一般的なセカンドにしては守備範囲が狭いです。それがショートの負担を増やして、結果としてショートの悪手につながっているとを感じざるを得ないんですよね。
でも、打撃がいいから絶対に外せない。DH要員は中田・近藤・西川で埋まっているのに、その中で渡邉を指名打者にするような余裕は、今季このチームにはありませんでした。

控えは主に、石井・谷内・平沼といった内野職人候補たち。チームが点を取るために、渡邉を打線に入れないなんてことはありえません。
樋口が本職セカンドのようですが、起用したのは最終順位が確定した終盤の1試合だけでした。樋口の打撃が開花しない限り、渡邉と併用されることはなさそうです。
でもやっぱり、パリーグ失策数5位タイ、チーム内1位タイはいただけないですね…。

清宮の項でも言いましたが、とにかくいっぱい練習してくださいとしか言えません。いろいろアプローチの仕方があると思うんですけど、渡邉にそうとしか言えないような現状のチームの層の薄さが問題。渡邉については、完全に「代わりがいない」状態です。
打において中心メンバーである渡邉なしでは、もっと酷い戦績になっていた可能性があるんです。そういうことを考えると、見ている側としては、モヤモヤを感じざるを得ないんですよね。

こういう選手って、ある程度守備には目を瞑らないといけないとはわかっているんですけど、もう少しでもなんとかしてほしいような。そんな気持ちです。
できれば打撃も、もう一段階上のステップに行っていただきたいですね。

清水優心

昨年までのチームの正捕手でしたが、今年は宇佐見に試合出場数を離されました。
(清水が69試合で、宇佐見が80試合。)
悪送球がとにかく話題になり、記憶にも残っています。失策数は渡邉と同じパリーグ5位タイ、チーム内では1位タイとなりました。

今年はスタメンマスクこそ宇佐見に譲ったものの、前年同様に捕手序列一位は譲らずにいたように見えたんですが、開幕から清水の守備面は目に余るものがありました。
先述しているように余裕のないチーム環境の中にも関わらず、7月には一軍登録を抹消されましたが、やはり8月には復帰。それ以降は投手の相性や、左打ちの宇佐見と併用のような形で最後まで用いられました。

でも別に宇佐見の方が特別優れていたわけでもなく、清水が悪いわけでもないんです。ただただ、層が薄いと言わざるを得ないんですよね。
総合的に一軍レベルのキャッチャーが清水・宇佐見・鶴岡しかいなかったんです。試合で勝つために、上から3人使うしかなかっただけ。
守備において一番安定感のあるのはコーチ兼任でチーム最年長のはずの鶴岡でした。来年40歳になる鶴岡が、チームの最戦力の一角。
とにもかくにも、層の薄さが一番の問題です。

キャッチャーって経験がものを言うポジションだとはわかってはいるんです。若いキャッチャーが、たくさんいる様々なピッチャーを巧みにリードするなんてことは現実に難しいと思います。
だからそんな彼らは、バットでアピールしてとにかく出場機会を増やして、その中で経験を養っていかなければいかないんですけど。
そのレベルに達してるのが、上から清水と宇佐見で、3人目がいないんですよね。とにかく層が薄すぎるんです。

一応打撃の指標は、宇佐見を上回ってるんです。ホームランは今季最後の試合で宇佐見に並びました。意地の一発だったと思います 。

左から①打率 ②OPS ③ホームラン ④打点
清水 .193 .546 3 13
宇佐見 .178 .450 3 10

だけど期待値は同じくらいか、宇佐見の方が総合的に安定感があるイメージが強いんです。これってやっぱり、エラーの数だと思うんですよね。
清水も宇佐見も指標通りの「たまに打つ」くらいのイメージでいて、実際その通りなんですけど、打が線にならないんですよね。これくらいなら、守備面で比較的安定している清水より宇佐見の方が見る機会が多かったのも頷けます。

あと個人的には、清水ってすごいイライラ屋さんのイメージがあるんですよね。プレー中、守備でも打席でもカッカッしがちというか。本人の性格なので一概には言いたくないんですけど、やっぱりそこも宇佐見との違いかなとは思います。

即戦力と期待されているドラフト新加入の古川がプロではどの程度のレベルがわかりませんが、そもそもドラフト新加入の大卒が待望とされているチーム事情。
本当に、層が薄すぎると言わざるを得ません。

清水も清水で頑張って欲しいです。
来季で7年目とはいえ、まだ24歳。絶対にまだ伸びしろはある。まだまだやれる、むしろこれからのはずなんです。
打力と守備力をとにかく磨いてほしいです。

石井一成

あげようか迷いましたが、やっぱり忘れられないので記載します。
今年の石井は見るに堪えませんでした。中盤くらいから一気に「やらかし」が増え、9月半ばにそれが爆発してからは観戦者からのヘイトも増えました。私レベルのファンでも、「本人の成長のために、今季はもう二軍漬けにして、打力と守備力の向上に専念して欲しい」と願いました。
奇しくもその通りになり、後のシーズン中に彼の姿を一軍で見ることはありませんでした。

昨年の成績やオープン戦の活躍で、今年は開幕スタメンを勝ち取りました。ですがその後は先述のような、試合の流れに水を差し、失点に絡むような致命的なエラーや送球難が多すぎました。
とにかく記録よりも、記憶に残るエラーが多かったんですよね。
それに加えて今年は打力が不調すぎたため、守備があのようであれば二軍幽閉もやむを得ません。

序盤以降、中島にショートのレギュラーを再度奪われ、スタメンで出ても相手投手の左右のバランスによるものであったり、セカンドやサードの守備固めのようなポジションになっていきました。本職ショートの内野万能ポジションという位置付けです。
こうなった石井って、谷内で完全に代替が可能だったんですよね。
まして打てず、エラーを繰り返すのであれば谷内と交代しない理由がありません。育成枠もケガ明けの平沼に移行することに異論を唱える人も少なかったと思います。

弁護するわけでもないんですが、動きは悪くないんですよ。平凡なゴロ対処は一番鮮やかだと思います。個人的には、サード時がとても良いなと感じます。
ボール捌きや、素早い身のこなしはチーム内のショート、中島や谷内と同レベルの実力はあると思っています。ただ、肝心な場面でのエラーや送球難が多すぎる。

とても厳しいです。メンタル面が課題なのでしょうか。でも、絶対にもっとやれる選手だと思うんですよね。持ってるポテンシャルは本当に高いんです。

年齢的にも、もう中堅世代に差し掛かってきています。ここが踏ん張りどころ。
守備力はもちろん、打力を高めて、正捕手を中島から奪い返すくらいのモチベーションじゃないといけない選手です。
本当に、頑張って欲しいです。

最後に

特筆すべき野手については以上でしょうか。もっといろんな選手に触れたいんですけど、今回の4人だけは絶対に触らずにはいられませんでした。
とにもかくにも、層の薄さ。それを実感せざるを得なかったんですよね。
そういうのって、選手だけの責任じゃないんですよね。チームを編成する側に大きな問題があると思っています。

特に今年って、外国人野手があまり活躍できなかったのが個人的にとても残念でした。他のチームの外国人の成績や起用を見て、羨ましいなと思ったこともありました。
そういうのは完全に、チームを作る側の責任なんですよね。

また投手の記事でも触れますが、チーム単位のさまざまな側面で意識改革が求められていることは、間違いありません。

【2020/11/13 追記】
投手についても振り返りました。
リンクを貼っておきます。

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