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031_『気がつけば、終着駅』 / 佐藤愛子

たまたま、電車の広告で目を留めて、図書館で借りてみた本。恥ずかしながら、佐藤愛子という作家のことを知らなかった。

読んでみようと思ったのは、この作品が「96歳になり『おしまい』を言うため」の本だという記載が広告にあったから。

その瞬間に繋がったのは、昔、ラジオで聞いて、今となっては名前がわからない記憶。ある西洋の女性医療関係者/研究者の話。終末医療を専門とし、多くの余命宣告を受けた患者の相手をし続けたこの女性。自分自身が(確か)癌を患い、終末医療を受ける側になった時、彼女が言った言葉が「結局のところ自分がやってきた研究には意味がまったくなかった」という内容で、個人的にとても衝撃を受けてしまった。

人間、誰しもがいつか死ぬので、この佐藤愛子さんがどのような言葉をこの本に残したのかとても気になってしまった。

これまでのエッセイをまとめた本なので、その変遷がわかるのだけれど、この佐藤愛子さん、かなり波乱万丈な人生を送っているので、印象としては「『死』は人生における大変なことの一つにしか過ぎない」という思想を持って生きていると感じた。

文章からも、諦念というか、悟りというか、ハードボイルドに悩みをバッサリと切っていくような強引な鋭さがあって、どちらかと言うと笑ってしまいたくなる内容。

多分、仲良くはなれなそう、笑。でも、本としては興味深かったです。


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