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23)~青蘭~ 大切な存在を救えなかった苦しみが、めぐり逢えた感謝として甦るとき


8月・・夏真っ盛り。

世界初だという「青い胡蝶蘭」を
見ました。
特別な輝きを持っているかのように目立つ、
鮮やかで深い色合い。

どれだけの熱意と創意工夫を凝らしてうみだされたものなのでしょう。


・・・そして、
このように、色々と新たなものが生まれてくる一方、

去っていった者たちを愛おしむ
 お盆やお彼岸  といった時期は、

季節に沿って

毎年、変わることなく
     めぐってきます。


あたかも、

柔らかな 光と影 を
                 拡げながら、

じっと   静かに
      繰り返し   繰りかえし 
 廻り続ける ・ ・ ・
   
   ・・走馬灯のように。


☆☆☆   


命日だけでなく、
お盆やお彼岸が来るたびに

この世から旅立っていった
懐かしい人々を

あらためて、思い出す方も多いのではないでしょうか。

私も、そんなひとりです。

今年も、お盆が近づくにつれ
色々と思いをめぐらすうち、
ふと 、  昔読んだ、
とある 1通の 相談の手紙が
       私の心に 蘇ってきま した。


それは、
新聞か雑誌の人生相談コーナーに 投稿されていた
 あるお母さんからの
    一通の手紙です。

・・・そこには、
愛する 我が子を 救えなかった、

自分を責め続け 苦しんでいる
ひとりの母の心情が
切々と書き綴られていました。

  🍃      🕊️   

 

     ~ 相談のお手紙 ~
☆「一人暮らしをしていた息子が 病気で亡くなった後
遺品の整理をしていたら
いくつもの病院の診察券が
沢山でてきました 。
おそらく息子は、 なんとか病が治らないものかと あちこちの病院を訪ね歩いたのでしょう 。

離れて住んでいた息子は
電話では
いつも明るい 声で
元気だと話していました。

私は息子が病気だったことを 全く知らずに過ごしていたのです。

息子はたった一人でどんなに悩み苦しんでいたことか。
そんな息子に何もしてやれなかったことが
本当に申し訳なく、
自分を責めるしかできない毎日が続いています。
息子にいくら詫びても詫びきれません。どうしたらよいのでしょうか。」

~~

このような 内容だったと思います。

それに対する 担当者の回答がどのようなものであったか はっきりとは 思い出せないのですが
おそらくは、 相談者が 強く 生きていけることを願ってなのでしょう 、
いつまでも過去にとらわれないように、といったようなことが、
少し厳しめの口調で、
書かれてあったと記憶しています。

私はその時
このお母さんに伝えたいメッセージがあった、ということを、

何年も経ったこの夏、
突然、
思い出したのです。

今となっては もう伝えるすべもなく、
このお母さんが どのように この苦しみを乗り越えられたか 
それも分かりません けれど

今日は
そのときの私の想いを
このお母さんへ宛てて
お手紙を書くようなつもりで
noteしてみたいと思います。


☆☆☆☆☆☆

お母様へ

お手紙拝読いたしました。
かけがえのない息子さんを
突然失われ、 どんなに苦しまれていることでしょう。

私には子供がいないので
本当にはお母様のお気持ちを分かりきることはできないかもしれませんが
実はほんの少し、
息子さんのお気持ちがわかる気がいたします 。
なぜなら私も、
息子さんと同じことをした経験があるからです。

ずっと以前、私はある 病気になりました 。すぐ死に直結する病ではありませんでしたが、 治療法というものがなく
病状のあまりの苦しさに、「自殺を考えない患者はいない」とも言われていました。
私も その考えは頭をよぎりましたし、 いずれ 弱って死ぬかもしれない、と思いました 。
しかし、私はどうしても死ぬわけにはいかない、と思いました。
なぜなら・・

・・・母が生きていたからです 。

老人ホームでほとんど寝たきりの生活を送っている 母 。
私が会いに行くことだけを楽しみに待っている母 。

母は私には一切何もしてくれることはできませんでした 。
私が書いた「 しばらく行けないけど必ずまた行くから」という手紙に 返事を書くこともできません 。
それでも、良かったのです 。

生きていてくれたら、それでよかったのです 。

「親より先に死ぬわけにいかない 」

その思いが、私を支えてくれたのです 。
おそらく息子さんも、
お母様が生きていて下さることそのものが、
支えだったと思います。

お母さんを悲しませたくない
だからこそ 、
お母様には何も言わず 、
必死で回復なさる努力を続けていらっしゃったのではないか、と
私には思われるのです。

「お母さんにとって 自分の存在が一番の幸せだ」と、
息子さんが分かっていたからこそ、
「お母さんの幸せを守りたい」

と、
一生懸命頑張り続けていらっしゃったのではないでしょうか?

お母様にはその、
「息子さんが一番 守りたかったもの」
を大切にしていただきたいと思うのです。


お母様は
「何もしてやれなかった」と
悔やんでいらっしゃいましたが、

お母様は、一番大事なことをできていらっしゃいます。

それは・・・


         
        「  愛を伝える  」


ということではないでしょうか?

そこに幸せを感じられていたからこそ、
息子さんは、
病に屈することなく、
頑張り続けられたのだと思います。

どうか 、息子さんの頑張りを認めてあげていただきたいと思うのです。

「頑張ってくれてありがとう」
「生まれてきてくれてありがとう」

そう、心で
伝えて差し上げていただきたいのです 。

大事なお母さん に認めてもらい 、感謝してもらえたら、
どんなに 息子さんはお喜びになることでしょうか 。
「自分はお母さんの幸せを守ることができた !」と
笑顔でご満足なさるのではないでしょうか 。


・・・
どうか、どうか
明日からは

息子さんに 

     「 ありがとう。」

と、ひとことだけでも
言って差し上げて下さい。

どんなに小さな声であっても、
心の中だけのささやきであっても・・・

どうか、切に、
お願い申し上げます。


―  かけがえのない息子さんを
  ずっと  愛し続けていらっしゃる お母様へ
 
   
     母を想う ひとりの子供より

   
    💌



⭐      ⭐          ⭐



~さて、   冒頭でご紹介した

世界初の 青い蘭 。


 青い蘭の花言葉は・・・  


品種名は「ブルージーン」だそうです。
「青の遺伝子」という意味でしょうか。

そして、
 その花言葉は

     「奇跡のめぐり逢い」

だそうです。


果たして、奇跡は、

めぐり会えた、
その一瞬で

終わってしまうものなのでしょうか?

・・・そうではないと、思いたい。

めぐりあい、共にすごし、
そして、どちらかが先に旅立った後も、
   そのすべての時が、
 めぐりあい という
          輝かしい 奇跡なのだ、と。

そして、それは、
まるで

愛の遺伝子のように、
途切れることなく、

誰となく伝えられ、
存在し続けるものなのだ、と。


今は、
初めて生まれたばかりで
まだまだ
希少な青い蘭。

しかし、いずれ、
だんだんと人々に認知され

いつか、まるではじめから存在していたかのように、
あるのが当たり前のようになったとしても・・

その美しさは、変わらずに
大切なことを語ってくれる気がします。

・・・ごく当たり前に見えてしまうものの中に、

いつも  出逢いの奇跡が   潜んでいる。

 
  決して、 失われることのない
    

かけがえのない 
       奇蹟 が  ・・・。



        ~花を見上げる 愛猫の面影~                          (あとり絵Sakai様作品より)


     「    失くしつると
             
                  想ひしものみな

  ここに ありやと


   影  踊らせて
      
               走馬灯の 明るき        」




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   ※  猫の画像 (アートグラス)
・・・グラスリッツェン工房
あとり絵 Sakai様

~画像を使わせていただき、
   どうもありがとうございます。~