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こんなやつもいるから大丈夫です、知らんけど

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日常の疑問や問題意識、抽象的な問いをあーでもない、こーでもないといいながら、簡潔で読みやすいエッセイにまとめます。 どうぞ、肩の力を抜いてお読みください。 きっと何か発見があり…
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2022年3月の記事一覧

さあ、「サクラ咲く」の一歩先へ

野菜も桜も人間も、咲いてからが本当の勝負なのだ。 桜は確かに咲くけれどもふと目線を上げれば、桜が咲いている。 そういえば、つい最近までは受験生に向けられたであろう「サクラ咲く」を至る所で目にしていたようにも思う。きっとこの言葉に勇気をもらって、「咲いた」という学生たちも多いのだろう。 一方で受験から離れて久しい今の私は、昔のように「サクラ咲く」に対して大きく共感できなくなった。たぶんそれは私が今、農業を始めたからだ。 花が咲く意味農家になってから、本当にたくさんの「花

ドバイの空港でテロリストに疑われ「This is a pen!」と叫んだ話

寸分の狂いもなく、正真正銘「これはペンです」なのだ。 This is a pen なんて英語のための参考書の中には「いつ使うんだ、これ?」と思う英文もある。その数ある英文の中で最高峰に位置し、英語が赤点という中学1年生でも知っている一文はこれしかない。 This is a pen. これはペンです。そりゃそうだ。ペンを見て「これは食パンです」と思う奴はいないだろうし、百歩譲っても「これはシャーペンかボールペンのどちらかな?」と”ペン”の範囲内で思考は完結するだろう。

氷下魚(こまい)とアスパラを食べに来まい?【フォロワーさんからの贈り物】

ここは瀬戸内・香川の丸亀市の離島。 雪に覆われることもなければ、氷点下を下回る日もほとんどなくて、いわゆる温暖な気候。 そんな「さぬき広島」という離島に、とある魚が送られてきました。 そう「氷下魚(こまい」です。 おそらく北海道を始め北国の方以外はなじみがないかもしれませんが、これがホントに罪な奴で。お酒にとにかくよく合います。 私は大学院時代、札幌に2年ほど住んでおりまして、そのときに出会って「こんなにウマいものがあるのか」と思った食べ物です。居酒屋に飲みに行くたびに

「ねえねえ、これ知ってる?」をやめてみたら、他人と会話ができなくなった

知らないことがまるで悪かのように、会話という名の「情報交換」はいつも始まる。 私と彼女が知っていること先日、大学4年の女の子が自信無さげに相談してきた。確かに22歳という年齢おいては、27歳の私よりは知っていることの総量は小さいのかもしれない。でも、彼は私よりも海外サッカーについて詳しかったし、アルバイト先で任されている仕事は今の私のそれよりもはるかに難易度が高いように思えた。 ねえねえ、これ知ってる?とあるビルの休憩室では、スマホ片手に同僚に新しくできたパン屋を紹介する

目の前のクソ野郎もムスリムだったなら

あのクソ野郎と私は、優しさを少し訝しみながら生きていく。 「だって、ムスリムだからね」もう7年も前になるが、私がトルコに留学していたときのこと。トルコの人々は何かにつけて私を助けてくれたように思う。 一人でとぼとぼ広大な畑を歩いていると車に乗せてくれたり、道迷っていたら一緒に迷ってくれたり。思い出すと本当にその場面が沢山浮かんでくる。 いつの日だったか、ルームメイトのトルコ人に、 なんてふと口にした。すると、 と彼は言う。そうか、優しさは神様のおかげなのか。優しさと

添え物のために家庭菜園してるんじゃないか説~炊飯器でカオマンガイ~

私個人としては、家庭菜園を誰かにオススメしたいと常々思う。その理由には土の香りがいいだの、収穫の喜びみたいな部分もあるっちゃあるが、これらは大きな理由にはなりえない。 なぜなら、人によっては耕したり、収穫したりという行為にいずれは飽きかねないからだ。またもはや単純に冬の寒いや夏の暑い日に行うそれらは、地獄でもある。 それでも、私自身が家庭菜園を楽しみ、誰かに進めたくなるのは、ふとした食事が華やかになるからだ。 炊飯器でタイ料理・カオマンガイが作れると聞いて、嬉々として作っ

おい、ベンツ!お前に土が耕せるのか?

近頃、同い年くらいの友人たちが、車を買ったとよく耳にする。私も27歳になるのだから、そりゃそうだ。 SUVが流行りだとか、結局高級車は乗り心地が良いよねとか。  無論、その車に何を積むのか、誰を乗せるのか。私の知ったことではない。 ただ、車を買ったというその知らせは、どこか私を焦らせる。 そんなことを、ウチのマイカーこと「耕運機」を使いながら思った。 たしかに誰も乗れないし、歩いて追いつけるくらいのスピードしか出ないけどれど、ウチのマイカーは土を耕せる。 おい、ベ