不味く。
「将来、何になりたいの?」
彼女の口から煙草の煙がゆらゆらと、濃紺色の空へ消えていく。
「……は? 将来?」
「あ、待って。当ててあげる」
彼女はまた、一口吸ってから言った。
「高円寺で、ライターとか?」
「え? 何で?」
「何か、ちゃんと仕事してなさそうだもん」
「何だよ、それ」
鼻では笑ったが、内心嬉しかった。
普通とはちょっと違う。何だか、自分に酔えそうな仕事、場所。それが俺の将来だなんて。
俺も煙草を一口吸った。
「お前は? 何になりたいの?」
「うーん……お嫁さんとか?」
煙草がとても不味く感じた。
夜の街へ、作品のネタを集めに行く為の費用に出来ればと思います。