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電波鉄道の夜

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逆噴射小説大賞二次選考通過作品「電波鉄道の夜」の連載版です。おおむね毎日更新をめざし……実行します。
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#パルプ

電波鉄道の夜 13

【承前】 「いいかい、あんたたちね。いつもいつもいつも言ってるけどね」  その声は地の底…

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電波鉄道の夜 12

【承前】  歌、雑談、プロデュース業、便利屋、廃品回収、寝かしつけ。  セロリモネの活動…

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電波鉄道の夜 9

【承前】 「別に自分の目や鼻や耳、でなくてもよいのでしょう?」  店員さんを見つめて問い…

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電波鉄道の夜 8

【承前】  薄く微笑むモネの顔はいつも頭の中で見たままの顔。首から下がなくなっても可愛ら…

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電波鉄道の夜7

【承前】  歩き出した男の人の後ろについて、隣の車両の扉をくぐる。  扉をくぐった途端、…

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電波鉄道の夜 6

【承前】 「おい、あんた」  突然、声が聞こえた。聞いたことのない声。  伸ばしかけた手が…

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電波鉄道の夜 5

【承前】  青紫の唇が「さよなら」と動く。  それを見ると思考はもえ切れて、僕は駆け出していた。「はうぃけん……はうぃ」呻く車掌さんの声を意識から振り払い。駆ける。  駆ける。  煙を掻き分けて、座席をすり抜けて、隣の車両に向かって、白い背中を目指して。  車両の扉が閉まる。女の子の背中が消える。  はやくはやくと気ばかりが急く。身体が重い。まわらない足がもどかしい。  極夜の夜より長く感じる疾走の後、ようやく扉にたどり着く。  がらり、と扉を開ける。閉じたときに聞いた音よ