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プラトン『ゴルギアス』について

 プラトンの本は『ソクラテスの弁明・クリトン』に次いで2作目だが、ギリシア神話の話やソクラテスが喋る論の構造など、分かりにくいところは多少ありつつ、しかし大筋は理解して読めたと思う。

 弁論術というものを例として取り上げつつ、「本当に大切なことは最善のことを追求することであり、人々にその場しのぎの快を与えるために迎合すべきではない」ということを対話を通して明らかにしていくというのが、この本の主旨であったと思う。自分も、それは確かにそうだと、納得できた。

 ただし、音楽とか文学、料理なんかも、「迎合」の類のものだと書かれているような箇所があり、それは「ん?」って感じだった。

 それにしても、ソクラテスの雄弁さというか、人間としての大きさというか、そういうものは文章全体からすごく伝わってくる。また、皮肉を言われて皮肉で言い返すところもあったりで、ちょっと面白い。しかし、このように最善は何かということを追求しまくったことで、周囲から疎まれることになったということも、ちょっと納得できるなと思った。実際、職場とかにソクラテスみたいな人がいたら、かなり浮いてるんちゃうかなと思うし、逆に偉人というのはそういうものかもしれんとも思った。

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