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“描く”ことをあらためて考える日々

まだ、実験段階で習作ですが、少しづつ作品作りを再開しました。
何を描くか?どんな画材で描くか?やりたいことは山ほどありますが、気になっていた題材がありました。

昨年コロナ禍で“アマビエ”や“クタベ”が流行りましたが…江戸時代から摺物や錦絵に登場するようになった豊作や疫病の流行を予言して「自分の姿をかきしるした者は難をのがれることが出来る」と告げて消え去った“予言獣”という妖怪が疫病除けの護符として人気だったようです。歴史的に繰り返される災禍と向き合うためにたくさんの絵が残されていますが、なぜかどれもユーモラス。そんなお守り替わりになるような小さな絵から始めてみました。

『ペスト医師』60×60mm

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一見すると、長い嘴の仮面にマントとハットが黒魔術的なもの?あるいはヴェネチアのカーニバルの仮装?と思いましたが16~17世紀にヨーロッパで大流行した時に、実際に治療に当たった装束として図版に登場しています。肌の出る部分を隠し、嘴の中にはハーブを入れ浄化するフィルターにしていたという解説もあり、なんと機能的な医療用ユニフォームだったのか、と驚きました。そんな訳で、険しい山岳地帯にハーブを摘みに来ているペスト医師。(実際にこのような採取をしたかは分かりません)予言獣でもありませんが、疫病を祓ってくれるようなキャラクターです。

『姫魚』84×84mm

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普段、マリンスポーツで海に出ることが多く海に因んだテーマで描いてみたいと思っていました。人魚伝説は世界各地にたくさんあり、予言獣としては
2019年大阪の国立民族学博物館で開催された驚異と怪異~創造界の生きものたち』という展覧会でその多くを知り、コワカワイイ姿に強く惹かれました。描きためて物語にでもしたいと思っています。

〈技法編〉ところでこれらの絵は、銅版画なのですが旧知の後輩でもある画家の片桐聖子さんのアトリエで技法指導を受けながら制作しました。(彼女の絵は色彩豊かで素晴らしいのでまたご紹介します。)
版は、初心者にも扱いやすいという塩ビ版を使用していますので「銅版画」と呼んで良いものか?そしてその版にニードルで直接引っ掻いて描画するドライポイントという技法です。版画用紙ハーネミューレのウォーターマーク(透かし)が逆版なので紙裏に摺ってしまいました、、、けど風合いは問題ありません。
プレス機を回す快感と、出てきた紙をめくった時の感動!小さな絵は目と指先に集中する作業と思われますが、全身の身体的プロセス=体幹で描く、が心地よいのだと思います。

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