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Episode 457 苦手と得意は一体です。

今年は梅雨が長引き、各地で大雨の被害が出てしまいました。
漸く梅雨が明けたかと思えば今度はカンカン照りで、外仕事をしようものなら日焼けと熱中症の危険に厳重警戒しなければなりません。
最近は「穏やかな雨」が少なくなってしまったのでしょうかね…晴れる時は猛暑で、雨が降れば豪雨。
日々の天気予報は一大関心ごとです。

さてさて先日…雨降りの朝のことです。
自宅の玄関を出て、クルマに飛び乗って…会社についてから傘を忘れたことに気が付きました。
会社の駐車場から従業員通用口まで100mほど…それほど歩くわけではありませんが、雨の降り方によっては傘が必要な距離です。
玄関を出るまでは「傘を持たなきゃ」って思っていたのに…天気予報では大雨警戒を呼び掛けていたハズ。
「あちゃ…やっちゃった」
仕方がないから心を決めて、100mダッシュ一本!

ADHDの方の「忘れっぽさ」に関しては多くの当事者さんの言葉がネットや書籍に記されているので目にする機会も多いのだろうと思いますが、ASDの方の「忘れっぽさ」を扱うものは意外と少ないようです。
でも…外から見える「現象」としては同じような「傘を忘れる」にしても、その忘れるメカニズムはADHDのそれと違う気がするのですよ。
と言うのも…。

前回の記事で私は「ASDのアタマはピーキーなエンジン」と表現しました。
安定した出力が得られる回転数(パワーバンド)を維持しないと、適正に機能できない…ということです。
だから、一定の回転数を維持する目的で、脳が「常に何かの作業をさせる」ように自分自身に仕向けているワケです。

私のリズムの中で動いているので、操作ミスは発生しません。
リンク切れも無意識とは言え、回転数を維持するための「私の意志」ですから、それ自体は操作ミスではありません。

前回の記事では、一定の回転数を維持するために、作業負荷が掛かると並行処理している何かのリンクを切る…と指摘しました。
それは注意欠陥で意識から外れるのではなくて、自分の安定した作業を続行するために意図的に切り落とす無意識の行動…ということです。

改めて、このツイートを。
あの雨の日の朝、私は「傘を持つ」「戸締り」「大雨の通勤」などを同時に考えながら家をでました…これで3,000回転の100% 。
そして「戸締り」という防犯上の重要項目で指差し確認…このタイミングで「傘を持つ」がリンク切れを起こします…でも、これも3,000回転の100%。
そして「大雨の通勤」に意識がシフトして…それも3,000回転の100%。
それとは違う項目に意識が向かうこともあるワケで、別の日には走り始めてから「あれ、戸締り…」とか不安に思うことも。

意識の「キープ」が難しいのは、ASDのシングルフォーカスの特性由来なのだろうか?
意外にも、ASDの頭脳は多くの並行処理をしているのではないか?
問題は「ピーキーなエンジン」が快適であるために、常に高出力状態を作り出してしまう…だから、いざと言う時の「対応できるキャパが狭い」ということなのではないか?

一概には言えないのですが、実はASDが並行処理をしたがる理由とASDが並行処理が苦手な理由は 裏表一体の関係にあって、その根には安定した出力を求めるASDの頭脳特性があるように感じるのです。

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