見出し画像

Episode 598 全てを変えなくて良いのです。

私は食品メーカーに勤務する会社員で、その具体的な仕事は原材料や製品の保管管理を行う冷凍・冷蔵倉庫のフォークリフト・オペレーター(リフトマン)です。
その仕事を行うにあたって、私は自分の苦手を理解し、回避するために「合理的配慮」を受けて作業を行っているということは、以前にお話しした通りです。

その内容についてはリンクから過去記事へ飛んでいただくとしてですね、今日のお話は「私に対しての配慮の範囲」ということです。

前回のnote記事は「告白の本質」について、恋愛におけるドキドキ感を題材にしてお話ししました。

この中で私は「告白の効果は受け手にメリットがあるのかという点にかかっている」ということを指摘したのです。
だってそうでしょう…「あなたが好きです」に対して、告られた側が告った私と一緒に行動するメリットがあるから告白を受け入れてくれたわけですからね。

このことは、「告白とは私とあなたの個人的な関係」で成り立つことを意味します。
最も広義で考えても、私の告白により行動に影響が出る人までの範囲に限定されるハズです。
だから「芸能人のAさんがBさんと付き合った」のようなハナシは、私の日常生活に何の影響も与えないのですよ…まぁ「○○ロス」のようなショックはあるかもしれませんけれど。
芸能人の発達障害カミングアウトがあなたに及ぼす影響は…まぁ、ほぼ無いでしょうね。
もちろん、活躍している芸能人が発達障害をカミングアウトすることで、発達障害者のイメージが現実とかけ離れることに不安や不満を感じる人はいるのでしょうけれど、そのあたりの話は「またの機会」に譲ることにして…。

私の仕事上で「私が受けている具体的な配慮」とは、ノイズキャンセル機能がついたヘッドフォンを使用して作業する…ということです。
この配慮の範囲ですが、基本的には私が日常的にフォークリフトで作業するエリアに限定されます。

ヘッドフォンを使用することで耳に入るノイズを物理的に減らすのですが、社会一般で言うところの「ヘッドフォンを使用する場面」というのは「音楽を聴く」ということが一番多いワケで、事情を知らない人が見れば「何か聞きながら仕事をしている」と思ったりするのですよ。
実際に「何聴いてるの?」という質問をトラックの運ちゃんからされることもありますし。
そんな時は「耳が悪いからね、耳栓してるんよ」と答えて受け流すのです。
一緒に仕事する同僚や、定期的に顔を出す馴染みの運ちゃんは分かっているから、それについて喋ることは先ずありません。
でも、ヘッドフォンを付けたまま他所に出向いたら…上手くないでしょうね。

研修や応援などで現部署以外の場所に出向くことがあった場合、私の「合理的配慮」をそのまま適応できるか…と言ったら、NO でしょうね。
他所の部署に行ってヘッドフォンを使っていたら、「何聴きながら仕事してるんだよ!」って怒られるでしょうし、第一その行為自体が失礼にあたる可能性があってですね。
もしも私がその他部署でも「配慮」を受けたいのなら、事情を説明して承諾を得る必要があるでしょう。

つまり、私に対してメリットがあることでも、あなたにメリットが発見できない場合、日常生活における「普通」から逸脱する行為は「非常識」として弾かれるのですよ。
この「世の中の仕組み」を理解することは生活をしやすくするためにとても重要だと思うのです。

発達障害を社会は理解してくれない…という人がいます。
確かにね、私たちが安心して生活できるように世の全ての人が配慮してくだされば、そんな意識を持ってくされば、すごく生活しやすくなるでしょう。
でもね、配慮してくださる人々も、普段は「社会一般」の中で「世の中の仕組み」に則って生活しているのね。

私たちがしなければならないことは、社会全体を作り変えることではなくて、私たち障害当事者が生活する身の回りの環境を整えることなのではないか…と、私は思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?