見出し画像

Episode 631 ふたつの「同じ」があるのです。

私は会社に自家用車で通勤していて、その「通勤のお供」がラジオだと言うことは、既にお話しした通りなのです。

今現在…2022年8月時点のJFN系のラジオ各局で、土曜夕方に放送される「土曜日のエウレカ」は、仕事を終えて家路につく週末の楽しみのひとつだったりします。
パーソナリティである麒麟の川島明氏が、ゲスト出演者とドライブしながら、ゲストの思い出話を聴き出す…という体で進むトーク主体のラジオドラマでして、ゲストの意外な一面が見えたりする「ラジオならでは」の面白さがあったりする、最近では私的にNO.1のプログラムなのです。

その「土曜日のエウレカ」で、何故か印象に残っている方の回がありまして…今から1年ほど前、2021年9月に放送されたコロッケ氏、あのものまねのコロッケ氏です。

それで、彼のハナシの何が印象に残ったかと言うと、「愚直に」という姿勢…でしょうかね。
もう1年も前の放送回の、それも退勤時のクルマの中で聴いたハナシですから、正確さにも自信がないのですが、「おじぎ」のハナシをされていたのですよ。

確か「最敬礼を徹底する。」ということを例にあげてお話しされていたのですが…。

ボクみたいなお笑い芸人が誰かに向かって「敬意を表する」って言っても軽いんですよ。
芸風に染みついた雰囲気があって、真面目にやっても真面目に見えないみたいな。
それで、兎に角キレイな「おじぎ」を徹底してやる…と決めるとしてね。
 
はじめはバカにされるワケ…誰に向かってでも丁寧なおじぎ自体が媚び売っているみたいな。
続けていると、いつも気持ち良いおじぎをしてくれるって、評価が変わる。
それが「素晴らしい」という評価になりなり、目標にされるお手本に変わっていくのよ。

コロッケ氏の言葉(ただし意訳)

実は先日、「同じことを言い続けるつまらない大人になりたくない」という意見を聞いたのですよ。
私もそんなことを思っていたことがありましたっけ…。
1970年生まれの私、佐野元春氏が「ガラスのジェネレーション」で「つまらない大人になりたくない」と歌ったのは私が10歳のころで、私の10代を彩るには欠かせない佐野氏の楽曲は、尾崎豊氏の語る"それ"とは質の違うモノでした。
ただ、この二人の「つまらない大人になりたくない」には、意見を聞いてもらえない「若者の閉塞感」がベースにあって、正当な理由があっても聞いてもらえない若さゆえの理不尽を音楽に乗せている点で共通だと思うのです。

「同じことを言い続けるつまらない大人」と言う意見を聞いた時、「同じこと」の意味について、私は思いを巡らせます。
ひとつ目は、大勢迎合の保守の意見としての「同じこと」。
自分たちの「居心地のよい社会」に対しての意見を認めないことがベースになるから、時代の変化に対して後ろ向き…佐野氏や尾崎氏が歌った「つまらない大人」は、このタイプ。
そしてもうひとつは、前述したコロッケ氏のように、信念をもってひとつの事柄に地道に取り組むことを指す「同じこと」。

基本的にコロッケ氏の行動は「左派の戦法」だと思っています。
大勢に迎合するのなら、大勢に受け入れられる行動をとれば良いワケで、それでもコロッケ氏は「自分を認めてもらうため」に自分の信じる正しいことを、時間を掛けて地味に繰り返すワケです。
やがて、常に美しい所作のおじぎをするコロッケ氏の行動を「またやっている」と受け流すことが出来なくなるワケですね。
あなたのその信念はどこから来るのかを無視できない…オーディエンスたる大勢が「それはどうして?」と、話を聞きに来ることにより、コロッケ氏の評価は向上する…だと思います。

世の中は多数派に有利にできているのは暗黙の了解なのです。
それは以前に「左利き」という、既に大衆に認知されたマイノリティ勢力の、不便さの感じ方と社会とのかかわりに関してお話ししたマガジンにも書いた通りです。

私が子どもの頃は、左利きは右手に矯正するのが普通とされていたのです。
少なくとも私の育った家庭はそうでした…それは「虐待」ではなく、「人前で恥ずかしい思いをさせない」という両親の価値観による愛情だったのです。
今でこそ余程の事情がない限り、利き手の矯正が行われることはないでしょうけれど、矯正するという行為を理不尽と感じていれば、私から見て両親は、自分たちの「居心地のよい社会」に対しての意見を認めないことがベースの、時代の変化に対して後ろ向きの考えになるでしょう。
ただ、「同じこと」は、決して既存の価値観を遵守する後ろ向きの行為であるとは限らないのですよ。

このことは、私の経験を聞いて下さる機会の無さを表現するポイントになるのです。
私には「同じことを言い続けるつまらない大人」という表現が、ムーブメントとは何か…を改めて考える、いい機会になりました。

この続きはまた次回…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?