Episode 538 アシンメトリーな社会です。
さてさて、前回の記事から引き続き、左利きを題材にしたマイノリティの話…第2話は「ユニバーサルデザイン」という言葉に焦点を当ててみます。
ユニバーサルデザインについては、このnoteの過去記事にも登場します。
この記事で例題として話題にしたのは、ケーキ屋さんが「右利き用に作られた左右非対称の形のスプーン」をサービスとして付属するのは如何なものかな…ということでした。
このことは、世の中の標準が右利きに有利にできていて、それを左利きは「そんなものだ」と思っているから表に出ないことが多いことを示していると思います。
利き手の問題は「左右のどちらか」しかありませんから、ユニバーサルデザインとしての対応は至ってシンプル…シンメトリー(左右対称)であることがベストです。
前回の記事で話題にしたサッカーのフィールドや、ネットを挟んでプレーするテニスやバレーボールのようなスポーツは、この典型ですよね。
でも、例えばスポーツが全てはシンメトリーではない…例えば野球。
ベースを回る方向は左回りと決まっている時点でシンメトリーではないのですよ。
バッターは左が有利…なのは、右打席で構える人が多いから見慣れないのはあるかもしれません。
でも、スイングして体が向いた方向に一塁がある左利きは、走り出す最初の一歩目が圧倒的に速いハズ。
逆に左利きは内野の守備に向きません…内野ゴロの捕球から一塁への送球では、体の向きを変えるためのステップが必要です。
左利きの選手が外野手とピッチャーに固まっているのは、左利きが右利きと対等(または有利)に守備できるポジションが決まっているからです。
9人でプレーする野球で、守備できるポジションが減ることは致命的です。
捕手・二塁手・三塁手・遊撃手は、左回りで走塁するランナーとの関係で左利きが圧倒的に不利です。
残った5枠を右利きの選手と競いポジションを勝ち取るとなれば、強肩・強打しか残されないワケですよ。
ピッチャーとしての才能か、外野からの矢のような返球とバッティングセンス…でも、左利きの選手がこのことに異を唱えることはありませんよ。
それが野球のルールで、そのルールで最善を尽くすことには変わらないのですから。
左右対称というシンメトリーが崩れれば、必ず左右のどちらかが有利になる…これは事実なのです。
この時に多数派を占める右利きに有利になるのは必然…ということです。
先ほどのツイートは以下のように続きます。
野球を例にして考えれば良いと思います。
左利きが多くいるチームに特別ルール、ベースランニングは右回りを適用…って、考えたことありますか?
多分、あまりいないでしょうね…左利きである私でも「違和感」を感じます。
多分、適用されても右利きも左利きも対応できないと思いますよ。
左利きの人は、何かしら「左利きの不自由」を感じながら生きているとは思います。
でも、だから「左利きに有利になって欲しい」とは考えていないでしょう…少なくとも、私は。
左利きも使いやすいシンメトリーは理想です。
でも、右側に偏った使いやすさの中で「左を使う工夫」で対応することは、左利きの人が必要に迫られて覚えるライフハックです。
そこの否定はできないのです。
不便そうに左を使うのを見かねて「専用品」を用意するのは、右回りの野球を準備するみたいなものだと思います。
そこを見誤って欲しくないのです。
左利きにしか使えないものを、右利きの人は用意すべきではありません。
左利きの人が左専用のものを用意するときは、自分で自分用として用意しますから。
バリアフリーとユニバーサルデザインは違うのです。
配慮と施しは違うのです。
これを受けて、次回は「当事者抜き」という点について考えてみようと思います。
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