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Episode 145 凹が目立ってしまうのです。

「マニュアル」というものは、誰でも一定水準の作業が出来るように標準化・体系化した文書であって、基本的にはこれを見れば何とか作業ができます…といったものだと私は思っています。
でも、このマニュアルを見て熟練者と同じ作業が出来るのか…と言う部分については明確に No であって、ひとつひとつの作業で「使えるレベル」を獲得するには獲得するに、日常業務の中で自分なりの「コツ/ポイント」を習得していく必要があるのだと思います。

本社に異動した私に与えられたものは、「マニュアル」でした。
そして「後は出来るでしょ。3か月後には戦力になってね、そういうレベルの人だって聞いてる。」
もうね、ここまでくると嫌がらせに近い僻みですよ。

マニュアル作成って、企業ではよくある作業標準化に向けた取り組みのひとつで、新人教育を担当するような若手管理職候補の人が仕事の理解のために課題として預けられたりするケースが多いと思います。
結構これが曲者で…。

どのレベルでのマニュアルなのか?
全くの新人を教えるのに基本的な部分を網羅したものなのか、それとも一通りの作業は習得した人がステップアップするためのポイント集なのか…ここのピントがボケたものが多いのです。
教える側は知っていて当然のことでも、新人には分からない、どこから教えるべきなのかのベースの部分が抜けるとか、作り手の意識が教わる人の立場に立っていないことがあったりするわけですよ。

食品メーカーの事務方なんて、常に新人が採用され続けるファーストフードやファミレスのチェーン店とはワケが違うのです。
マニュアルが必要とされる頻度も違うから、マニュアル自体もあまり必要に迫られないワケで、使いにくさの意見が出ないから成熟して行かないのです。

いつ作ったか分からないようなマニュアルを渡されて、後は勝手に覚えてね…。
分からないことは聞くしかないのですが、聞けば「そんな基本的な事も分からないのか?」とかね。
そりゃぁ、分からないですよ…関西と東日本では商慣習も得意先も違いますから。
お言葉を返すようですが、あんた関西に転勤してマニュアルだけ預けられて、質問無しで全部の作業がこなせるんですか?

教えもしないで「あいつは噂ほどじゃない」ってさ。
どうやらこの会社のこの部署は、高卒ルーキーのホームラン量産を期待しているようだ…。
聞けばバカにされ、聞かないでマニュアルに頼っても抜け漏れが多くて意味不明。

そもそも私の対人コミュニケーションスキルなんて、ツイと突いて反応を見る幼児並みですから、上手いこと話しを聞き出すなんて無理なんですよ。
いや、実際は教えようとする気はあったのかもしれません。
でも、土地柄の薄い反応に気が付かないだけだったのかも…。

〇か×かの両極思考がマニュアルだけで何とかする方向に舵を切ったのは、自分自身を守るために当然の答えだったと思います。
ただし、それは企業での活動で正解だったか…と言えば、それはわかりません。
もしも私が真っさらの「新人」だったら、またちょっと違ったのかもしれません。

企業組織の中で孤立する、その原因は私のASDに起因するコミュニケーション能力の弱さでした。
でも、それだけじゃない。
関西で作った実績が、ハードルを上げて足枷になる…ということは実際にあったのだろうと思います。

いろいろなめぐり合わせの悪さが、自分の凹の部分を際立たせることになったのだろうと思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/2/6

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