見出し画像

Episode 244 これはOSのバグなのです。

少し前までASDは「アスペルガー症候群」と呼ばれていた時代がありました。
ASDの全てをカバーする概念ではないのですが、ASDの多くの部分がアスペルガー症候群の指し示す範囲に含まれるようです。
アスペルガー症候群には基本的に3つのパタンがあり、それぞれ「積極奇異型」「受動型」「孤立型」と呼ばれています。
そのほかに「尊大型」とか「大仰型」とか、細かな分類もあるのだそうです。

ASDの当事者である私が、この話をどことなく「聞いた風」の文章で書いているのは、未だにこのアスペルガー症候群の「型」に違和感を感じるからです、というのも…。

私は今になっても私自身がどの型に属しているのか分かっていません。
読んでくださっているあなたに質問します。
私の過去の記事を読んで、私がどの型に属していると思いましたか?

私の思う発達障害者という概念は、「物理的におきている脳の問題を回避するために、独自の思考パタンを形成した人」というイメージです

つまり、
物理的におきている脳機能の問題の深刻さ(物理的な問題の範囲)、
不具合を感じる位置(過敏/鈍麻を感じる感覚の数や位置)、
後天的な環境と回避法の獲得(両親や周囲との人間関係や環境から得る知識)
…がミックスされて、独特な世界観が作られるということだと理解しています。

こう考えた時に、それぞれの「型」の特徴を、いくつも併せ持つ私が見えてくるのです。

定型発達者から私たちを見た時に、真っ先に見えるのは「目に見える現象」です。
発達障害を説明しようとしたときに、定型からはみ出す目に見える現象から研究が始まったのでしょう…それ故に事例を分類して整理したのがアスペルガー症候群の「型」だと思うのです。
ただ、実際にアスペルガー症候群の当事者から見て、この分類を自分自身に当てはめようとしても、どれもしっくりこない…。
それはそうでしょう、「型ありき」でその症状の病気があるワケではないのですから。

インフルエンザのA型やB型みたいな感覚でアスペルガー症候群の型を見ていませんか?
A型のインフルエンザにかかれば、B型用のワクチンは効きません。
同じインフルエンザでも、ウイルスの種類が違うのですから。
でも、発達障害はそうじゃない。

発達障害は外から入り込んだウイルスが原因ではありません。
先天的な脳機能の問題で、言わば内部発生的なバグだと思います。

人間の成長をコンピュータソフトの開発に例えた時、最初から大きなバグがあり、それを回避するようにプログラミングが組まれた…それがその個人を動かすOSになるワケです。
定型発達者でも陽気な人もいれば、物静かな人もいる、運動が良く出来る人なら自然と活発な人になりやすいでしょうし…。
個人を動かすOSは、それぞれが違うプログラムで動いていて、全く同じものはあり得ないと思います。

そういう意味では「スペクトラム」という発想は的を得ていて、アスペルガー症候群も、その「型」も名前の上で廃止されたのは納得です。

でも…未だに旧名称の「型」が独り歩きしているケースを見かけます。
「外から中へ」の発想は、発達障害をわかり難くする結果にならないか?
私たち発達障害者は、その内側の感覚をもっと外に知ってもらわなければならないと思います。

先ず、自分自身を知ること、そしてゆっくりと振り返ること。
劣等感なく自認する重要性を、改めてお話ししたいと思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2019/5/16

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?