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Episode 417 トラクションが掛かりません。

渡辺航氏のマンガ「弱虫ペダル」でロードバイクに興味を持った人も多いのでしょうが、その弱虫ペダルはロードを離れてトレイル(山中の自然歩道・ケモノ道)へ…。
私は趣味で自転車に乗るのですが、何を隠そうロードバイクを所有していなくてですね、根っからのMTBer(「マウンテン・バイカー」と読みます)なのです。
…ってなワケで、人気自転車マンガがMTBを扱うことにウハウハしていてですね。

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愛車 "Gary Fisher Piranha" と私

初めてMTBに乗ってトレイルライドした時のことは、今も強烈に覚えています。
ハッキリ言って「怖い!」の一言…何しろ「登らない、曲がらない、止まらない」と三拍子そろっていてですね、何回コケたか分からないくらいコケた挙句、怖くてMTBを押して山を下りたのです。

YouTube の動画は、大阪・堺が世界に誇る自転車パーツメーカー「シマノ」のプロモーション映像なのですが、Mike Hopkins 氏の華麗なMTBライドで特に注目していただきたいのは、タイヤの接地面がスピードとパワーに負けてグリップしない場面が多い…という点なのです。
このグリップしにくいズルズルの地面を如何にコントロールするのか…というのがMTBライドの肝なのです。

それを一番分かりやすく説明できるのが「坂道を登る」ということです。
スポーツバイクに限らず自転車で坂を登ろうとした時、誰もが一度ぐらい「立ち漕ぎ」をしたことがあると思います。
ロードバイクで言うところの「ダンシング」って、体重を踏む側のペダルに預けることで強い駆動力を得ようとするヤツね。
でも、MTBトレイルライドでそれをやると…コケます。

物理的な法則で言うと、地面の持つ摩擦力を超える駆動力(トラクション)が掛かってしまい、タイヤが空転するという話です。
土や砂の地面は舗装された道路よりも摩擦係数(μ)が格段に低くて、人間のペダルを漕ぐ力でも駆動力が勝ってしまうことが普通に起こるのです。
でも、自転車って漕いでいないと倒れてしまうじゃないですか。
だから漕がないワケにいかないのです…。
ではどうするか…というと、サドルの出来るだけ前の方に体重を移動して、ハンドルにしがみついて駆動力が摩擦力を超えないギリギリのパワーをペダルを介してタイヤに伝える努力をするのです。
トラクションが掛かるギリギリを探ることになる…これがね、力まかせにガシガシと踏み込むことができない、地味にセツナイMTBのヒルクライムなのです。

先日、私はTwitterでこんなツイートをしました。

これを投稿してから「なんか違う」って想いが消えなくてですね、それが何なのか考えていたのです。
そして気が付いたのです。
トラクションが全くかからないワケではない…と。

反作用が全くない…のであれば、それは全てを吸い込むブラックホールですよね。
そうではないのです。
私のココロは舗装路ではなくてトレイルなのだ…と。

多分…私は、パートナーに切ないMTBトレイルライドのヒルクライムをさせているに違いないのでしょう。
ちょっとパワーを掛けると「スコン!」とトラクションが抜けてタイヤが空転する、あのヒヤリとする感じ…。

私が取り組むべきは、私のココロというトレイルの摩擦力を上げること。
定型の人は普通に舗装された道路を何の不思議もなく往来しているのでしょう。
でも、あなたは山の中のケモノ道に足を踏み入れてしまったワケでして、そのケモノ道を舗装することはなかなか困難なことでして…。
そこはケモノ道を堪能する方向に舵を切っていただけると嬉しいワケでして…。

私はあなたが進むトレイルが「たのしいやまみち」であって欲しいと思うのです。
私にできるのは、そのケモノ道の整備ぐらいしかないのですけどね。

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