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Episode 498 小回りできない船なのです。

私が住む本州日本海側の政令指定都市は港町で、ペリー来航で幕を開けた「開国」の流れを受けて、安政5年(1859年)に日米修好通商条約などの諸条約で開港指定された5都市の一角を占める「近代日本最古の貿易港」なのです。
そりゃぁ…横浜や神戸のような飛びぬけた大きさはありませんが、それでも大型の貨物船が接岸できる埠頭がある、全国に23ある国際戦略港湾・国際拠点港湾のひとつなのです。
貿易港としての荷扱いは液化天然ガスと海上コンテナが主力で、特に海上コンテナについては私の仕事柄、日常的に身近なものなのです。
何しろ食品メーカー系冷凍倉庫でのフォークリフト・オペレーターが私の生業ですからね。

海上コンテナの「箱のサイズ」は国際規格で決まっていて、幅2,438㎜ 高さ2,591㎜、長さが2種類あって20ft.コンテナが6,058㎜、40ft.コンテナがその2倍の約12mある、それは巨大なものなのです。
その海上コンテナの積み込み作業を「バンニング(Vanning)」、積み下ろし作業を「デバン(Devannng)」と呼び、物にも依りますが、コンテナ一台を仕上げるのに2~3人掛かりで2~3時間程度かかるのが普通です。
コンテナ船はこれを「いっぱい」詰んで世界中を行き来するワケですが、その積み込み可能数をTEUという単位で表すのだそうです。
20ft.コンテナひとつが1TEU、5,000TEU以上が大型貨物船の区分だそうで、超大型のコンテナ船だと、10,000~20,000TEUとか…想像を絶するヘビー級の船になるワケですよ。
仮に10,000TEUの船で各コンテナ2名/2時間でバンニングしたとしてですよ、荷物そのものの価値にプラスすること、2名×2時間×10,000TEU=40,000時間分の積み込み作業を費やした労務費を積載して世界中を航海することになるワケです。

何でまた、こんなコンテナ船のハナシをしているかと言うとですね、ASDの私は、こんな大型船のような人なのではないか…と思ったからです。
私が「船」で思い出すことと言えば、1978(昭和53)年放送のTVアニメ版『宝島』や尾田栄一郎氏による人気マンガ『ONE PIECE』のような帆船…シケで荒れる海で「おもぉかーじ、いっぱぁーい!ヨーソロー!」って操舵輪を「カーッ!」って回すイメージ、またはタイタニック号のようなハナシ程度で、決して船舶に詳しいわけではありません。
何れにしても共通するのは舵を切っても急には「止まらない」「曲がらない」ということです。

以前に私は受動型と呼ばれるASDについて、社会的常識と思われる事象を外部から積極的に取り入れることで「自らの安全地帯」を作りあげる傾向がある…と指摘しました。

つい最近のひとり思い。
わたしは、私がバンニングしたコンテナではなく、誰かがバンニングしたコンテナを積み込んだコンテナ船…コンテナの中身に自分の本心は入っていないのです。
大量のコンテナを積み込んだ船の総重量は恐ろしく重く、それを積み込んで洋上を航海するには相当なパワーが必要で、直進安定性を最優先に考えるがゆえに旋回性能に劣る特性は、予定変更に弱いASDの思考パタンそのものではないか…と。

「おもぉかーじ、いっぱぁーい!」で、どこまで右旋回できるか?
「とぉーりかじ、いっぱぁーい!」で、どこまで左旋回できるか?

小回りの利かない大型のコンテナ船に膨大な情報コンテナを搭載して、狭くて通行量の多い航路を無理やりに通る無茶をする想像をして、
「あぁ、それすることがあるよなぁ…私」と思ったりするのです。

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