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Episode 562 深掘りの先の仲間です。

先ず、今回のこの記事を書くキッカケから。

Alan&Sakura (@AlanandSakura) さんが運営するYouTubeチャンネルに公開されたこの動画では、「ASDの友だちに対しての感覚」が、Alanさんの優しい語り口で紹介されているのです。
うん、そうですね…友だち、すごく不思議な感覚だと思うのですよ。
コミュニケーションが苦手なASDの人にとっての友だちとは、いったいどんなものなのか…ですよね。

えーと、私は趣味でMTB(マウンテンバイク)に乗るのですが、これがなかなか特殊な世界なのですよ。
基本的には「パーク」に行って走ることが多いのですよ…具体的には夏場(雪が無い時期)のスキー場などを利用した「管理されたコース」が主体なのですが、コレの他に「トレイルライド」と呼ばれる里山の「けもの道」をお借りして走らせていただくようなこともあるのです。
「道」と言えば公道を思い描く人が多いと思うのですが、都道府県や市町村などの行政が管理する公道と違い、里山内の「けもの道」は管理者が曖昧なのです。
「けもの道」というのは自然歩道とも呼ばれ、山の管理での往来や、山中の茂みに暮らす野生動物たちが踏み慣らした「便宜上できてしまった道」で、その区分としては「山林」の一部なのです。
したがって、その所有者は山林の持ち主である行政であったり法人や個人であったりするワケで、そこに無断で分け入れば、「不法侵入」の恐れがあるのです。
だからね、MTBer(マウンテンバイカー)と山の所有者には信頼関係が必要で、遊ばせてもらう代わりに「山普請(下草刈りや倒木の処理など)」を手伝うなどの良好な共存関係を作ることで「遊び場」を確保するなどの努力をするのです。

そういう理由で「一匹狼」の MTBer は、基本的にいないのです。
公道を走るロードバイクと異なり、管理された道ではないところを走ることが MTB の魅力なのですから、それに見合う環境とコミュニティが必要…と言うことですね。
さらに「立ち木に衝突する」とか「谷側へ滑落する」など、山中で考えられる事故や、野生動物との遭遇を考えた時、単独行がどれほど危険であるかは容易に想像できるワケです。

とまぁ、MTBについての「あなたと私」の関係は、極めて物理的な結びつきが強い…ということになります。
「MTBでトレイルライドをする」という趣味を共有するために、あなたと私は行動を共にするワケです。
そこには、里山の整備やそれぞれの自転車の整備やパーツ、ライディングのテクニックなど…あらゆる方向の話題が詰まっているのですが、「MTBでトレイルライドをする」という根にある部分の共通性がこの関係を保っているワケです…これ、Alanさんが動画の中で言う「オタク」そのものです。

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AlanさんがYouTube動画の中で言う「STEM分野の興味関心」とは、そんな堅苦しいものではなくて、要するに具体的な形のある興味関心が共通のものである仲間は作りやすい…と言うことですよね。
そんな中に私のパートナーを連れて行っても…面白くないでしょうね、Sakuraさんが苦労したように。

Alanさんは「学生時代の友だち」と話していましたが、私のMTB繋がりの友だちは社会人になってからできた友だちです。
その友だちが「いつできるのか」については、興味のある共通の話題を掘り下げられる人に「いつ出会うのか」に拠るのだろうと思います。

ここは非常に重要なポイントで、共通の話題が持てない人とのコミュニケーションについては、あなたが知る「コミュニケーションが苦手なASDの人」の特徴がモロに出るワケで、疲れるだけの社交的なコミュニケーションを省略すれば、友達と呼べる人はできないかもしれません。

そんな中で…AlanさんはSakuraさんと出会い、私はパートナーと出会い、YouTube動画の中の「質問者」の方も、パートナーである夫さんと出会ったのだと思います。
目の前にいるパートナーのあなたは、苦手なコミュニケーションがあって、共通で掘り下げられる話題が乏しくても尚、一緒にいたいと思うパートナーなのだと思うのですよ。

外にいる共通の話題を持った会話の弾む友だちと、目の前にいる会話に苦労してでも一緒にいたいあなたとは、質が全然違うのですよ。
だって、疲れるだけの社交的なコミュニケーションを、なるべく省略したいのですよ…ASDの私は二人称のあなたを意識するだけで疲れることは、前回のnote記事で説明した通りです。

あなたには心を開く…。
それにはどれほどの愛情が込められているのでしょうね。
それが本当に、私が想像するように、苦手を押してでもあなたを優先するでありますように…と、思うのです。

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