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Episode 22 知ったかぶりではないのです。

10年ほど前に「知ったかぶりカイツブリ」って、滋賀県ローカルで大ヒットした歌があったんです。
簡単に言えば、滋賀県ローカルの「あるある」を滋賀県の県鳥「カイツブリ」に歌わせてニヤリと笑う映像クリップです。
当時、仕事の都合で滋賀県民だった私は、これが面白くて、大笑いしました。

帰りの電車で山科過ぎたら
途中でそれて湖西線と知りました
長浜ラーメンは福岡でした

なんて、基本的に自虐系の歌詞なんですね。

「知ったかぶり」を辞書で調べると、「実際は知らないのに知っているようなふりをすること」とあり、同義語に「よく知らないのに知ったふりをすること」を意味する「半可通」が載っていました。
あまりいい意味ではないですよね。

私は記憶を合成できます。
自分が経験したことがないことを経験したかのように、明確な映像で脳内書庫に保管できます。
ただ、勘違いしないでほしい、とんでもない超人的なことを自分の経験に織り込むことはできないのです。
記憶の合成とは、自分の知識/経験から生み出されるものであって、自分自身ではない「スーパーマン」や「スパイダーマン」の身のこなしやパワーを組み入れるというわけではないのです。

ロードマップを見ていて「実際に走ったらきっとこうだろう」とか、時刻表を見ていて「今回の旅行はきっとこんな感じ」って思う程度の話、それがちょっとだけ具体的にイメージできるだけなのです。

知らない駅でも、構内の写真と構内案内図で売店の位置や様子は大体想像できます。
街の規模や電車の本数などで、混雑の具合も予想できます。
でも、この感覚は理解されないことが多く、行ったことがない場所についてそんな描写をすると「知ったかぶって」と言われてしまいます。

私は知ったかぶりをしているわけではありません。
「知ったかぶり」と言われないようにしないと、嘘つき扱いにされてしまうのがツライです。

私は、自分のその感覚を人前で封印しています。
そうせざるを得ないから。

自虐で笑えるようになったのは「カイツブリ」以降ですかね…。 

旧ブログ アーカイブ 2018/10/6

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