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Episode 162 出世が全てじゃありません。

ちょっと前の作品ですが、「うさぎドロップ」って宇仁田ゆみ先生のマンガが原作の映画があります。
松山ケンイチが扮する主人公「ダイキチ」が、祖父の隠し子である少女「りん」を引き取って育てるって話です。
独身の青年が単身で子供を育てることになるワケですが、その中に残業だらけの「普通」のサラリーマン生活が難しくなって、残業のない部署への異動を願い出るシーンがあります。
上司から「キミのような人材が、残念だ。」と言われて配属された場所が出荷部…つまり物流部門、そこで待っていた作業員は一癖も二癖もあるような寄せ集めたち。
そして事件は起きて…って話は進みます。
原作のマンガはダイキチとりんのその後を描く第二部があるワケですが、映画は第一部のみで完結します。

「どうしようもない」と思われる部署が、本当にどうしようもないのか…といえば、私はそんなことはないのだと思います。
確かに出世コースから外れて、会社の運命を左右するような「やり甲斐」のある重要な仕事は出来ないけれど、重要な仕事をすること「だけ」がやり甲斐なのかと問えば、それはまた No だと思うのです。
映画の最後に仲間と子ども自慢をするダイキチの楽しそうな姿は、身に覚えがあるぞ!

ASDの私は何事にも過集中しがちです。
特に仕事で「乗っている」時期になれば、寝ても覚めても仕事のアイディアが浮かんで来るワケでして、実際に形の残る仕事もいくつかこなしてきたわけです。
ただ…それを成し遂げるには、いくつもの「犠牲」があったのです。

物流部門の仕事というのは「当日のことは当日に片付ける」のが基本です。
当日の仕事を当日の時間内に収めるにはそれなりの段取りもあるのですが、何日も先のことをあれこれ考えて調整して…といったことは、基本的に発生しません。
仕事に入って、8時間ガッツリと目の前の仕事に集中して、終われば翌日に引っ張る懸案事項はありません。
今日の仕事が終わらなくて残業…はあるにしても、そこも「出来る人が交代で」が基本、私がやらないと終わらないって個人に被せられた仕事は、ほとんど発生しないのです。

「宵越しの仕事は持たない。」
江戸っ子の「それ」みたいに粋な感じには行きませんが、過集中ASDには気持ちの切り替えがしやすい良い仕事だったのかもしれません。

映画の中で描かれるダイキチの物流部門への納得感と、私が感じるそれとは発想の根本が違います。
でも、納得して仕事をしているという気持ちは通じる部分があって、すごく共感できる気がしたのです。

何が自分にとっての適職なのか?
「ASDとしての自分」を見つめる物流部門での再出発です。

旧ブログ ありません。アーカイブ 2019/2/23

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